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第203話

及川さんが出て行ってから、どれぐらいの時間が経過しただろうか。 このまま帰ってこなかったらどうしよう…… あの時追いかけた方が良かったのに、俺の頭の中はグチャグチャになってて、すぐに動くことが出来なかった。 なんで動けなかった? なんでこんなにも好きなのに、上手くいかないんだよ…… 落ち着かない焦る気持ちを抑えることが出来ず、俺は立ったり座ったりを繰り返していた。 確かに月島には身体を触られたり、耳を舐められたりしたけど、セックスは絶対していない。 信じてほしい…… 「早く帰ってこいよ及川さん……」 ちょっと外の空気を吸いに行っただけだよな? すぐに帰ってきてくれるよな? それともやっぱり探しに行った方がいいのかな? そう思い至って立ち上がったその時、携帯からメールの受信音が鳴り響いた。 「お、及川さん!」 素早く携帯を掴み取り、メールを開く。 そこには月島という文字が表示されていて、思わず口角が下がってしまう。 こいつのせいで及川さんは出て行ってしまったのに…… クソッ……いったい何の用なんだ 《今日はどーも~ すごい楽しかったよ。 帰り道で面白いもの見ちゃってさ、王様にも見てほしくてメールしました。 僕を楽しませてくれた王様と大王様にプレゼントです。 喜んでくれると良いなぁー笑》 プレゼント? どうやら写真が添付されていたようだ。 イライラしながら写真を見ると そこには…… 「ッッ!!」 及川さんと新藤さんが抱き合っているところが写し出された写真だった。 「な、なん、だこ、れ……」 視界が一気に真っ白に染まって、俺はその場に頽れた。 及川さんは俺の身体に月島のキスマークがついていたことに怒って、飛び出て行ったんだよな? それでなんで新藤さんと抱き合ってるんだ? 俺が月島と浮気したって誤解して、それで及川さんも新藤さんと? そんな、まさか…… いやいや!! これはきっと何か事情があるんだ! 絶対そうだ! 帰ってきたらちゃんと話してくれるはず…… 俺達の間に隠し事はなし あの時の 約束…… そーだろ? 及川さん……

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