241 / 345

第240話

及川side 飛雄が可愛すぎて死にそう…… やっと二人っきりでデート出来た。 今まで出来なかった分、思う存分飛雄とイチャイチャしたい。 俺達はこんなにラブラブなんだってとこを、周りに見せつけたいと思った。 それで飛雄がすんごい恥ずかしそうだけど そんな真っ赤な顔も、恥じらう姿や怒った顔とか それから、嬉しそうな顔、楽しんでるところ、 笑い顔、綺麗な涙だって……全部! 全部、全部…… 飛雄の全てを受け止めて、しっかりとこの目に焼き付けていたいんだ…… 「及川さん! これスゲーカワイーっすよ!」 売店に入ってから飛雄は、 めっちゃくちゃ可愛い笑顔で、うさぎとパンダのぬいぐるみを抱き締めている。 「どっちが良いですかね?」 「俺は飛雄が良いかな」 「ふざけるのダメです!」 「ふざけてないよ! 本気だよ。 でもレッサーパンダのぬいぐるみが良かったんじゃないの?」 飛雄はジロリと俺を睨んでから、目線をぬいぐるみ達に戻す。 その睨んだ目も、ちょっと尖った唇も、ぬいぐるみなんかより可愛ーんですけど! 「レッサーパンダもいーんすけど、うさぎもパンダもカワイーんですよね…… 及川さんはどれが一番カワイーと思いますか?」 「いやだから俺は──」 飛雄が一番可愛いと言おうとしたところで、飛雄の手で口を塞がれてしまった。 「それは言わせませんよ? 真面目に答えてください!」 「俺はいつでも真面目なんだけどな…… んーー、そんなに可愛いなら、全部買ってあげるよ?」 「いやいーです! 1つだけでいーっす! じゃ、じゃあ……このパンダにします! コイツの目がなんか……俺を買ってくれって言ってるように見えるんで、コイツにします! スゲーカワイーし……」 「俺って……そのパンダはオスなんだね…… うさぎとレッサーパンダはいーの?」 「はい! パンダに決めました!」 そう笑ってパンダをギューッと抱き締める飛雄がもうホンット、メッチャクチャ可愛すぎるんですけど! もうこのパンダが羨ましくて仕方ない。 なんて思いながら、パンダのぬいぐるみを飛雄から受け取りカゴの中に入れる。 「ありがとうございました~」 「ねーこれ、さっそく被ろっ!」 そこで会計を終わらせたカップルが、袋からサンタの帽子をつけた熊耳の帽子を取り出して、二人揃って被っている姿が目に映った。 もうすぐクリスマスだからなぁー、熊もサンタ帽子を被ってるのね。 なんて考えていると、飛雄がソワソワキョロキョロしだした。 あ……あの帽子を探してるんだ……可愛い…… 飛雄はそれが置かれている棚を見つけて、その場にしゃがみこんだ。 熊耳や、うさぎの耳などがサンタ帽子をつけている。 ソワソワしながらその中から猫耳の帽子を選び、棚に取り付けられた鏡を嬉しそうな顔で覗き込んでいる。 ああもう……なんでお前はそうやって一々可愛いの? 「あ、あの及川さん……俺達もこれ……」 「あーー可愛い……」 唇をムズムズとさせながら、こちらを向いた可愛い飛雄を抱き締めてやる。 飛雄はすんごい狼狽えて目を泳がせながら、俺から離れようとしている。 そうはさせるか! 更に力を込めて抱き締める。 「お、及川さん! またこんなとこで、くっつかないでください!」 「可愛いすぎるお前が悪い!」 「お、及川さんもカワイーです! ほ、ホラっ!」 飛雄はワタワタと手を振ってから、俺の頭に猫耳帽子を被せてきた。 「あっ! ちょっと! こんなの俺には似合わないよ!」 「似合いますよ! スゲーカワイーです!!」 思いっきり口角を上げて笑った飛雄が、鏡を指差す。 そんな飛雄がもう愛しい…… 「鏡見てください!」 「あー見なくていーよ。 飛雄はこれを、俺とお揃いで欲しいんでしょ?」 「は、はい……」 「だったらこれも買おうね」 「はい!!」 弾けるように首を縦に振った飛雄を笑って、俺はもう1つ帽子を取って、サラサラ頭に被せてやる。 「やっぱりすんごい可愛い。 似合ってるよ。飛雄……」 「及川さんも似合います!」 二人お揃いの物を身に付ける。 それがなんだか、とても嬉しかった……

ともだちにシェアしよう!