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第240話
及川side
飛雄が可愛すぎて死にそう……
やっと二人っきりでデート出来た。
今まで出来なかった分、思う存分飛雄とイチャイチャしたい。
俺達はこんなにラブラブなんだってとこを、周りに見せつけたいと思った。
それで飛雄がすんごい恥ずかしそうだけど
そんな真っ赤な顔も、恥じらう姿や怒った顔とか
それから、嬉しそうな顔、楽しんでるところ、
笑い顔、綺麗な涙だって……全部!
全部、全部……
飛雄の全てを受け止めて、しっかりとこの目に焼き付けていたいんだ……
「及川さん! これスゲーカワイーっすよ!」
売店に入ってから飛雄は、
めっちゃくちゃ可愛い笑顔で、うさぎとパンダのぬいぐるみを抱き締めている。
「どっちが良いですかね?」
「俺は飛雄が良いかな」
「ふざけるのダメです!」
「ふざけてないよ! 本気だよ。
でもレッサーパンダのぬいぐるみが良かったんじゃないの?」
飛雄はジロリと俺を睨んでから、目線をぬいぐるみ達に戻す。
その睨んだ目も、ちょっと尖った唇も、ぬいぐるみなんかより可愛ーんですけど!
「レッサーパンダもいーんすけど、うさぎもパンダもカワイーんですよね……
及川さんはどれが一番カワイーと思いますか?」
「いやだから俺は──」
飛雄が一番可愛いと言おうとしたところで、飛雄の手で口を塞がれてしまった。
「それは言わせませんよ? 真面目に答えてください!」
「俺はいつでも真面目なんだけどな……
んーー、そんなに可愛いなら、全部買ってあげるよ?」
「いやいーです! 1つだけでいーっす!
じゃ、じゃあ……このパンダにします!
コイツの目がなんか……俺を買ってくれって言ってるように見えるんで、コイツにします!
スゲーカワイーし……」
「俺って……そのパンダはオスなんだね……
うさぎとレッサーパンダはいーの?」
「はい! パンダに決めました!」
そう笑ってパンダをギューッと抱き締める飛雄がもうホンット、メッチャクチャ可愛すぎるんですけど!
もうこのパンダが羨ましくて仕方ない。
なんて思いながら、パンダのぬいぐるみを飛雄から受け取りカゴの中に入れる。
「ありがとうございました~」
「ねーこれ、さっそく被ろっ!」
そこで会計を終わらせたカップルが、袋からサンタの帽子をつけた熊耳の帽子を取り出して、二人揃って被っている姿が目に映った。
もうすぐクリスマスだからなぁー、熊もサンタ帽子を被ってるのね。
なんて考えていると、飛雄がソワソワキョロキョロしだした。
あ……あの帽子を探してるんだ……可愛い……
飛雄はそれが置かれている棚を見つけて、その場にしゃがみこんだ。
熊耳や、うさぎの耳などがサンタ帽子をつけている。
ソワソワしながらその中から猫耳の帽子を選び、棚に取り付けられた鏡を嬉しそうな顔で覗き込んでいる。
ああもう……なんでお前はそうやって一々可愛いの?
「あ、あの及川さん……俺達もこれ……」
「あーー可愛い……」
唇をムズムズとさせながら、こちらを向いた可愛い飛雄を抱き締めてやる。
飛雄はすんごい狼狽えて目を泳がせながら、俺から離れようとしている。
そうはさせるか!
更に力を込めて抱き締める。
「お、及川さん! またこんなとこで、くっつかないでください!」
「可愛いすぎるお前が悪い!」
「お、及川さんもカワイーです! ほ、ホラっ!」
飛雄はワタワタと手を振ってから、俺の頭に猫耳帽子を被せてきた。
「あっ! ちょっと!
こんなの俺には似合わないよ!」
「似合いますよ! スゲーカワイーです!!」
思いっきり口角を上げて笑った飛雄が、鏡を指差す。
そんな飛雄がもう愛しい……
「鏡見てください!」
「あー見なくていーよ。
飛雄はこれを、俺とお揃いで欲しいんでしょ?」
「は、はい……」
「だったらこれも買おうね」
「はい!!」
弾けるように首を縦に振った飛雄を笑って、俺はもう1つ帽子を取って、サラサラ頭に被せてやる。
「やっぱりすんごい可愛い。
似合ってるよ。飛雄……」
「及川さんも似合います!」
二人お揃いの物を身に付ける。
それがなんだか、とても嬉しかった……
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