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第242話
及川side
「そー言えば、日向達に土産買わねーと!」
ご飯を食べ終わって、思い出したようにソワソワと再び売店の方へ走っていく飛雄。
俺も岩ちゃんに何か買ってあげようかな。
「日向達にはこのサイのメモ帳でいーっすかね?」
「何そのメモ帳~。ウケるんだけど!
なんでメモ帳をチョイスしたのさ?
メガネくんはまぁ使いそうだけど、チビちゃんはメモ帳なんか使うかなぁ~?」
「んぬん……使ってくれるかどうかは分かんねーっすけど。
このメモ帳、1枚取って裏の説明通りに折り畳むと、サイの形になるんすよ!
すごくないっすか? カッケーっすよね!」
カッコ良くはないけど、まぁすごいかもね……
それに何より、キラキラした目でメモ帳のすごさを語る飛雄が可愛くて、思わず口角が上がってしまう。
「すごいじゃん。それならチビちゃん達も喜んでくれるかもね」
「ウスッ!」
満足そうに頷いて、メモ帳を2つカゴに入れる飛雄を見つめながら、岩ちゃんへのお土産は何にしようか考える。
岩ちゃんは絶対メモ帳は使わないだろーし、部活で使える物が良いかなぁー?
なんて考えながら、隣の棚に置かれていたタオルを手に取る。
それは、白いタオルの真ん中にデカデカと虎の絵がプリントされており、大きな口をこれでもかと言うほど開けて、立派なキバを堂々と見せつけている。
それがものすごく可笑しく見えて、俺は盛大に吹き出してしまった。
「ブッッハァっ!」
「? 何すか及川さん? 変な笑い方して」
「クハハッ! ねー見てみてこのタオル~。
岩ちゃんにすんごいピッタリじゃない?
怒った岩ちゃんの顔にそっくりぃ~」
爆笑しながらタオルを見せてやると、何故か飛雄の目がキラキラと輝き始めた。
あれ?
「そのタオルスゲーカッケーーっすね!!
岩泉さんに買ってあげるんすか?
俺も自分用に買います!」
「えぇぇっ!」
それって、岩ちゃんと飛雄がお揃いってこと!?
そんなの許せないんですけど!
「こっ、これは俺用に買おうと思ってたタオルだよ~。
カッコいいよね~ハハハ~……
トビオちゃんも気に入ったならお揃いにしよっか?」
「及川さんもそのタオル好きなんすね!
一緒に買いましょう!」
同じタオルを取って嬉しそうに眺める飛雄に、複雑な気持ちになる。
俺このタオルを使わないといけないのか……
嫌だけど飛雄とお揃いだし、毎日使っちゃお☆
岩ちゃんにはメモ帳の隣にあった、可愛いウサギちゃんの手鏡でいっか♪
これで毎日自分の顔を見て、もっとイケメンに成長してね!
岩ちゃんっ♪
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