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第246話

胸に触れた手が、寒いはずなのにすごく熱くて…… 全身を包み込んで、守ってくれてるみたい あぁ……及川さんは今、こんなに近くにいてくれてるんだなって 目を閉じてても教えてくれる。 もうこれで大丈夫って言ったら、もちろん嘘になる 寂しくて、悲しい気持ちは消えてはくれないけど、 言えずに閉じ込めて、無理矢理我慢していた本音を全て彼にぶつけたら 少し心が軽くなった…… 「及川さん、及川さ、ん……」 触れられたら、その倍触れたくなる 手を伸ばして、俺も彼の胸に触れて、服にシワを作る。 もう片方の手は及川さんの頬へ。 「飛雄……」 名前を呼ばれて、誘われるようにゆっくりと唇を近付けていく 及川さんも俺の背中へ手を回し、引き寄せ 唇を近付けてくれる 「…ん……」 触れ合った唇から及川さんの熱が、全身に広がる。 今、本当に12月なのだろうか? あなたに触れると身体がどんどん熱くなっていき、寒さなんて感じなくなる。 離した二つの唇から、白い息が吐き出されたのが見えた。 やっぱりここは寒い外なんだな。 こんなにも熱いのに…… 及川さんの熱がもっといっぱいほしくなって 「もっともっと、あなたに触れていたい」 頭の中に浮かんだ言葉をそのまま伝える。 その言葉に及川さんの瞳が揺らめき、そして強い眼差しで真っ直ぐ見つめられた。 「俺も同じこと心の中でずっと叫んでた。 お前にずっと触れていたいって 何度も、叫んでた」 「胸に触れて、キスしたから。 及川さんが叫んでたの伝わってきました」 そっと及川さんの手を握り、指を絡める。 それに及川さんは頷き、ギュッと手を握り返してくれた。 「もう我慢なんてしません。及川さんがほしい」 「俺も我慢なんてしない。 行くよ、飛雄」 力強く手を引かれ、輝く並木道を二人で走り抜ける。 我慢なんて出来るわけない もっとこの胸の中を、及川さんでいっぱいに 全て、埋め尽くしてください……

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