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第247話
及川さん、早くして……
1秒でも早く、あなたの全てを感じたい。
及川さんも、もちろん同じ気持ちだ。
だって、すごく焦った面持ちで、家の扉を開けようとしているから。
やっと開いたと思った時にはもう腕を引かれ、寝室へと連れて行かれる。
ベッドが視界に映った瞬間逸る気持ちを抑えきれず、今度は俺が及川さんの腕を引っ張り、
一緒に勢い良くベッドへと倒れ込んだ。
「っ、飛雄! …んっ……」
彼の首へと腕を回し、強引に引き寄せ、
そのまま唇を奪った。
「うっ……ん…」
「ん、ふっ……んぅっ」
及川さんの口腔内へと舌を潜り込ませ、彼の舌先にそっと触れた。
俺の行動に目を見開き、頬を赤くさせた及川さんは、
そのままゆっくりと目を閉じて俺の背中に腕を回し、強く強く抱き締めてきた。
だから俺も、目を閉じてキスに集中する。
及川さんの口の中
熱くて すごく甘い……
もっと隅々まで味わいたい
そんな欲求を抑えきれず、もっと奥の方まで進み入る。
彼の舌の上をゆるゆると撫でて、グッグッと押してみる。
それを繰り返していたら、じわりと口の中の唾液の量が増えてきて、舌の動きが滑らかになった。
擦り合わせただけでヌルヌルと滑り、それだけで気持ち良くなってくる。
及川さんの口の中がどんどん熱さが増していき、自分のも熱くなる。
二人の唾液が混ざった口腔内で舌を泳がせ、彼を撫で続けていると、
及川さんの舌が突然素早く動き出し、ヂュッと舌を思いっきり吸い上げられた。
「ンうぅっ! ンッ、ん、ぅ…ふっ、ぅ」
ヂュッ、ヂュッと連続で舌を吸われたかと思うと、
吸って引っ張られたままの状態で動きを止められる。
苦しい……
じわじわと痺れてくる。
「んっ、ん、う……ぅ、ん、ぁ…うぅぅっ……」
上手く息が出来なくなり、及川さんに回した腕に力を込めたその時、
引っ張られたままだった舌を
ヂュッヂュヂュッッ!
「ンッ! んっうぅううぅぅぅっっ!!」
力いっぱい、思いっきり吸い上げられた
痛くて、舌がビリビリする
視界が滲んできて、頭の奥がグワっとなった。
力の入れ方がなんだかよく分からなくなり、彼の背中に回していた腕の力が緩まって、
ベッドへと滑り落ちそうになったその時、
及川さんが俺の腕を掴み上げた。
「イっ! 及、川さ……」
「ダメだ飛雄!
ちゃんと俺のこと抱き締めてないとダメだっ!!」
室内に強声が響いた。
掴み上げられた腕に彼が唇を落とす。
「あっ!」
それにドキッとしたのも束の間、及川さんが口を開け歯を見せたと思ったら、
そのままそこに噛み付かれた。
「イタッ! あぁ…及川さん……」
「離しちゃダメでしょ飛雄。
俺にちゃんと触れててよ。
ずっと触れててほしいんだ、飛雄……」
歯形を真っ赤な舌を見せ付けられながら、ペロリと舐められた。
目線はずっとこっちに向けられている。
そんな及川さんの瞳、赤く色付いた舌が
すごく、色っぽい……
その真っ赤な舌に、もう一度吸われたい……
そして、吸い付きたくなる。
視線を奪われ、俺は思わずゴクリと喉を鳴らした。
「すみません、及川さん……もう離しません。
触れさせて……」
ドクン、ドクンとそれでなくても鳴っていた心音が、更に跳ねあがって
自分が興奮していることに気付かされた
掴まれていた腕を彼の背中へとまた伸ばし、抱き付く。
顔をグッと近づけ、及川さんの下唇に歯を立てた。
「イっ……」
痛みに小さく溢れた声。
彼の唇に舌を這わせ、
そして 塞いでやった……
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