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第281話

「ところで……なんで二人で顔赤くしてたの?」 またも月島は訝しげな目をして、そう訊ねてきた。 その言葉に日向が体全体をピンっと伸ばして、大袈裟に反応した。 動きが一々ウゼェ…… 「なんだなんだ!? 顔赤くしてたって? 黛さんとなんかあったのか影山!?」 「ウッセーなぁ、なんもねーよ…… なんか知らねーけど自己紹介されて、名前呼んだら黛先輩の顔が赤くなったんだよ。 で、釣られてこっちまでなんか恥ずかしくなったんだよ……」 そう説明すると、日向と月島がもうメチャクチャ顔をしかめて、スゲー嫌な顔をしてきた。 「名前を呼んだだけで顔を赤くしただぁ!?」 「何それ気持ち悪っ!」 「気持ち悪いってヒデーな……」 失礼なことを言った後二人は、しばらく難しそうな表情で顔を見合わせてから、突然日向が俺の肩を掴んできた。 「うぉっ! な、なんだよ?」 「その人怪しすぎる! 影山、気を付けろよ!」 「気を付けるって、何をだよ?」 「なるべく近寄らない、話さないようにする。 お前には大王様がいるんだからな。 黛さんに何言われても、その事は絶対に忘れんなよ!」 「俺が及川さんのこと忘れるわけねーだろーがボゲェ!!」 「それはもちろん分かってるんだけど、お前スゲーバカだからなぁー、心配なんだよお兄ちゃんは……」 「誰がお兄ちゃんだ!! お前にだけはバカとか言われたかねーよボゲェ!!」 怪しいとか気持ち悪いとか、近付くなとか、こいつら失礼すぎんだろ…… まあ別に、俺は黛先輩と話すことなんかねーし、近寄ろうとか思わねーけど。 つーかそう言えば、最初の目的の写真がまだちゃんと撮れてなかったな…… 「んなことより俺、及川さんに桜の写真送りてーのに、上手く撮れねーんだよな……」 「君、バレー以外何にも出来ないんだね」 「ウッセーボゲェ!!」 俺だってバレー以外にも出来ること沢山あるっつーの! 舌打ちしながらポケットから携帯を取り出すと、それを日向に素早く奪われた。 「桜だけの写真より、お前が一緒に写ってる方が大王様喜ぶぞ! 俺が撮ってやるよ!」 「はぁ!? 俺も一緒に!?」 及川さんが喜ぶんならそうしたいが、一人で写るのはなんか抵抗がある。 「お、おい! お前らも一緒に写れ!」 「は? 恥ずかしがってんのか~? 大王様は影山だけの方が喜ぶと思うけど…… ま、別にいっか」 「僕はパス」 「ダメだ! お前も一緒に写ってやろーぜ! その方が楽しいじゃん!」 ボソリと呟いてそっぽを向いた月島の腕を、日向が引っ張る。 月島は嫌そうな顔をしていたのに、日向に誘われた途端、ため息を吐きながらもそれに従った。 やっぱり月島、変わったな……前までは嫌と思ったらこっちが何を言おうと、絶対に従うような奴じゃなかったのに。 「ほらほら笑って~。はい、チーズ!!」 3人で並んで、日向が携帯を3人がちゃんと入るように構えて、シャッターを押した。 ブレずに綺麗に撮っていて、ムカつくけど日向は写真撮るの上手かった。 これを及川さんに送るんだと思ったら、なんだか緊張して変な顔になってしまった。少し頬が赤くなってて、恥ずかしい……

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