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・第294話・
『飛雄が可愛すぎるから、及川さんのもうビンビンだよ……』
「なっ!」
ビッ、ビビッ、ビンビンって、何言ってんだよ!
まさか及川さんのも勃つなんて……
俺の声だけを聞いて、そんなに?
触ったり、見たりもしてないのに……
「おっ、及川、さんも……興奮、したんすか?」
『うん。すっごい興奮してる』
「声だけで?」
『だって飛雄むちゃくちゃエロい声出すから。
それに、飛雄だって、1人の時は勃ちもしなかったのに、及川さんの声聞いてもうビンビンで、先走りダラダラなんでしょ?
一緒じゃん』
及川さんと一緒……
俺達は、お互いの声だけを聞いて、こんなにも興奮してるんだ……
二人で一緒に勃ってるんだ
そう考えただけで、全身がグアーーっと熱を帯びて、陰茎がビクッビクッと更に激しく震え出す。
「うっ、くっ! うっ、あぁ……んっ、お、いかっ……わさ…ん……っ」
『俺のチンコが勃ってるって分かって、飛雄、もっと興奮しちゃったの?』
「う、ふっ、あ、ぅ……」
及川さんもズボン脱いで、チンコ掴んで、エロい顔してるのか?
そんな及川さんのエロい姿を想像してしまう。
あぁ……そんな及川さんをこの目でじっくり見たい……
見れないなんて悔しい
でも、見れないからこそ、想像が大きく膨らんで、もっとエッチな及川さんの姿で頭中がいっぱいになる。
こんなの、ヤバすぎる!
「うぅぅっ! おいかっ、わさっ……やっ、俺っ、ヤバ、いっ!」
『お前……ほんと、可愛いね……
もうイきそうなの?』
「うっ、ん……は、はい……」
『ねぇ飛雄、お前はもうさっさと1人でイきたいの?
それとも及川さんと一緒にイきたい?
選ばせてあげる。お前はどっちが良い?』
静かな声で問われた質問。
今までこういう時なら、
一緒にイくんでしょ! 我慢して!
って言われて、陰茎を強く掴まれていることだろう。
でも、今は及川さんは傍にいなくて、一緒にイくか、先に1人でイくかを選ばせてくる……
そんな風に聞かれたら、一緒にイきたいって思うに決まってるじゃないか。
それに……きっと及川さんも、そう望んでる……
俺だって同じ気持ちだよ
「……同じ、ですよ」
『え?』
「あんた、俺と一緒に、イき、たいんだろっ?
……っ、俺もっ、お、いかわさんと一緒に……イきてー、からっ、待ってて、あげますっ!
だからっ、早くしろよっ!」
そう吐き出すように言葉を必死に紡ぐ。
イきたくて、身体の奥底で欲望が渦巻いて、苦しいくせに強がりを見せる。
そんな強がりに、彼は小さく息を漏らして笑った。
とても艶かしい吐息だった……
『息も絶え絶えなくせに生意気……
うん、そーだよ。お前の言う通り一緒にイきたい。
だから、待ってて飛雄。
もっともっと俺を興奮させて』
「うっ……は、はい…」
そう返事して、陰茎の根元を搾るようにグッと握り込む。
「ぐっ! うっ、あぁっう……」
腰が大きく跳ねて、今にもイきそうだったけど、なんとかたえることが出来た。
我慢だ、我慢だ……
及川さんと一緒にイくんだ
滲み出てきていた唾を飲み込んで、大きく息を吐ききる。
「だっ、大丈夫、です……続けま、しょう……っ」
『うん。ありがとう飛雄
じゃあ、今度は後ろを触ってみて』
「う、後ろ……」
いつも、及川さんのを受け入れていたところ……
そう意識した途端、寂しそうにそこがひくついたのが分かった。
ここ……前に自分で解したことがあった。
その時は彼は傍にいてくれて……
いつもしてもらうのに、その日は自分でして、彼の欲望を受け入れた。
彼のを求めて、寂しそうに反応しているそこが、なんだかものすごく可哀想に感じた。
「及、川さん……」
『大丈夫だよ。一緒に気持ち良くなろ』
優しい声に、胸がじわりと熱くなる。
あぁ、及川さんのが欲しい……
彼に解してもらうのでも良い、自分でしても良いから、彼ので敏感なところを沢山激しく攻めて欲しい。
「うっ、うぅ……おい、かわさっ……っ」
溢れ出た先走りを指で掬って、瞳を強く閉じて後ろの方へと手を伸ばす。
先走りで湿り気を帯びた指を、まだまだ固く閉ざしている蕾に押し付けた。
切なさとか緊張とか、熱く締め付けてくる感情
ぐちゃぐちゃになった頭の中で、彼の姿を思い浮かべながら指を滑らせた。
先走りでヌルつく指で蕾を撫でていると、ピクッと反応してひくついているのがはっきりと分かった。
「うぅ、はっ……お、い、かわ、さ……ん……
名前、よ──」
『飛雄、飛雄……』
切なくて、彼に名前を呼んで欲しくて、そうお願いしようと思った。
でも、そう言い終わる前に、彼は愛おしそうに名前を呼んでくれて……
胸がまたじわりと熱くなった……
「おい、かわさん……及川さん……」
滑らせていた指を、すぼまりにグッと押し付けて、長く息を吐き出す。
そして、そこから息を止めて、蕾を押し開くように指を埋め込んでいく。
「くっ! う、うっ……はっ、あっ……つ、うっ!」
やっぱり緊張しているのか、体が強張っているのか、上手く指が進んで行かない。
必死に入れようともがけばもがくほど、ダメな方向へと進んでいるような気がしてきた。
「くっ、くっ、うっ! く、うぅっ!
くそっ! は、いんねーっ!」
勃ち上がっていた陰茎が、下の方へと傾いたのが分かって、変に焦ってしまう。
『飛雄っ!』
「はっ! あ……おいか、わさ……?」
突然大きな声で名前を呼ばれて、慌てて携帯を強く握った。
『痛くない?』
「え?」
『お尻痛くない?』
「あ……」
そう問われて初めて気づいた。
ジンジンと痛み傷付いたすぼまり。
なんか痛みに悲しくなって、鼻も痛くなってきたその時、彼が可笑しそうに笑い出した。
『あははっ、あははははは!』
「なっ! なんすか!?
なんでそんなに笑ってるんすか!!」
こっちはこんなに切なくて、苦しいのに。
『いやだって、大違いだなぁーって思って』
「なっ、何が?」
『一緒に気持ち良くなるとか言いながら、お前は1人で焦ってさ。
どうせチンコ萎えてきてんだろ?』
「…………」
『図星だ。
それなのにさ、俺のはビンビンなんだよね』
「え、えっ!」
『1人で焦って、必死に後ろに指を突っ込もうとしてるお前の声を聞いてたらさ、なんだろ、ごめん……
すんごい可笑しくて、可愛くて、愛おしくて、
もっと、ものすんごい興奮してきちゃったんだよね』
そ、そんなに……?
及川さんのは勃ってるのか?
俺はこんななのに……
『ほんと、擦ってると、すごい気持ちいい……
お前さ、及川さんと一緒にイきたいんでしょ?
このままじゃ俺だけ、先にイっちゃうよ?
もっと、力を抜けよ飛雄』
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