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・第296話・

頭が痺れてきて、突き進めていた指が震え動きが鈍る。 こうさせてしまうのはいつも及川さんの指で、やめてと言っても、待ってと言っても彼はやめずに一番良いところを刺激してくれる。 でも今入っているのは自分の指で、やめたければやめられる。 でも……本当はやめたくなくて 及川さんがいつも擦ってくれてた、あそこが自分が一番気持ち良いところなんだと思う。 後もう少しで届くだろう。 そこに届いてしまったら、自分はきっとおかしくなってしまうと思う…… それが恥ずかしくて、でも及川さんと一緒なら、それも喜びに変わるって知っているから。 「ふっ、う……あぁ」 ゆっくり指を進めて行く度、腰がビクビクと跳ねて、また昂りの先端から蜜が滴りだす。 後もう少し、もう少しで全部入る…… 「んっ! ふっ、あぅっ、はっ……あぁっ!」 『トビオちゃん、もう良いよ。 一気に思いっきり入れてごらん』 「え? でも及川さんがゆっくりって……」 さっきと言ってることが違う。 それにそんなことしたら、また痛くなってしまうんじゃないのか? 『大丈夫だよ。今のお前なら』 「今の俺? どう言う意味ッスか?」 『良いから、さっさと入れろって言ってんだろ!』 「ッッ!!」 突然の強声に驚いて肩を跳ねらせた瞬間、指が最奥へと勢い良く突き進んでしまった。 「ンア"アッ!!」 一番良い所を突き刺す様に刺激してしまい、鋭い快感が身体中を駆け巡る。 そこで危うく欲望を解き放ってしまいそうになって、携帯を持っていた方の手で慌てて陰茎を握り締めた。 ゴトッと携帯が落下した音が遠くの方で響く。 「あっ! う"っ……あっ、あぶねっ……あぅ、は、ぁぁ…」 及川さんと一緒にイくって約束したのに、勝手に一人でイきそうになった自分を頭中で叱咤する。 『おーい! おーい飛雄ーすごい音したね~~大丈夫ー? トビオちゃーん!』 遠くの方で及川さんの声が聞こえる。 「あ、う……お、いかわ、さっ……」 携帯、早く拾わねーと! 俺は急いでベッドの上を必死に這いずりながら動いて、下に落ちた携帯へと手を伸ばす。 『飛雄~トビオちゃ~~ん』 「お、いかわ、さんっ!」 途中、這って進んでいたせいで、陰茎がベッドに擦れてしまい、何度もイきそうになる。 「あっ! んっ、んぁっ!」 やべぇっ! これだけでスゲーゾワゾワする! クソッ! イきそう! いや、駄目だ! 及川さんと一緒にイきたい!! 「はぁ、はぁ…はぁ……すっ、すん、ませんっ! はぁ、おいか、わさっ……ケー、タイ、はぁ、はぁ……落としっ、ちまって……っ」 必死にベッドから降りて携帯を掴み取り、息も切れ切れに何度も力なく彼へ頭を下げた。 そんな俺に及川さんは楽しそうに笑った。 『携帯落としちゃうほど気持ち良かったんだ? トビオちゃんはほんっっとにエッチな子だね。 でもダメじゃん落としちゃあ。 トビオちゃんのエロい声が聞こえなくなっちゃうでしょ~ もっといっぱい聞きたいんだからさ、どんな状況でもケータイ離しちゃダメだよ!』 「……俺だって、携帯落として、及川さんの声が遠くて、ちゃんと聞こえなくなって…… スゲー寂しくて、悲しくなりました! だっ、だから! 俺だって及川さんの声、もっといっぱい聞きたいッス! もっといっぱい、エロい声も聞きたい。 聞かせて下さい!!」 そんなこと言うのも聞くのも恥ずかしいけど、でもやっぱり聞かれるなら聞きたくなって…… そしたら、そしたらもっと興奮するから 『……そんな聞きたいなら、もっと飛雄が大胆にならないとダメだよ』 「……大胆?」 『そ。エロく乱れて、もっとやらしー飛雄を俺に頂戴』 彼の甘く響く言葉に、途端に身体が疼き出して、中に入った指を吸い付く様に締め付ける。 「……は、はい……」 言われなくても全部あげたい…… いや、もうとっくの昔に全部及川さんのものだった 頂戴って言われても、もうあげるところがない 口内にジワリとたまった唾液を、一つ喉を鳴らして嚥下する。 中に完全に入った2本の指を、ゆっくりと曲げていく。 「うっ! あっ、あぅ……はぅっ!」 『そう。良いよ飛雄……』 「は……あっ……おっ、及川さんも、ちゃんと、チンコ、触って下さいっ!」 『触ってるよ……飛雄の声聞きながらちゃんと触ってる……』 「じゃ、じゃあ、もっと擦って下さい!!」 『うん、分かったよ…… 飛雄も指、バラバラに動かしてみて』 「ん……は、はい」 及川さんの言う通り、2本の指をゆっくりと動かしてみる。 「うっ! んっ……は、アァッ! んっ、うぅ……あんんっ!」 内壁を2本の指が擦る度、ムズムズして、ゾワゾワして、 下半身と一緒に昂りも震えて止まらない。 『は……あ…飛雄……っ…ぅ』 及川さんのエッチな声が耳元で響いてきた。 それが嬉しくて、興奮して、もっと聞きたくて、欲しくなる。 「あっ、んあっ! おっ、及川さんがっ、チンコ、触ってる!」 『うん……飛雄の言う通り、ちゃんと触ってるよ……ん、はぁ……』 ヤバい、ヤバい! スゲー興奮する! もっと聞きたくなって、窄まりがまた反応して強く締まる。 そこがなんだかむず痒くなってきて、もっと指を動かして、メチャクチャにしたくなった。

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