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第330話

及川side 『みの虫みたいって言われたことがあるから、名字知られるの嫌なんだって!』 『みっ、みの虫!? プッ、アハハっ! みの虫とかウケる~~!』 『もうっ爽香ちゃんっ! なんで教えるのーー!? ホント爽香ちゃんって意地悪なんだから!!』 『え? えっ! だって、三野村って名字、別に私は変だとは思わないし、そんなみの虫って意地悪言う人の方がいけないんだよ! だから私は意地悪じゃないもん!!』 『確かにそーゆーことゆー人が1番悪いって思うけどさぁーー俺が嫌がってるの知ってんだから、秘密にしててよー!』 そうだよ! そう言ってバカにしたり悪口言う奴がいけないんだよね結局は!! 二人は揃って顔を赤くさせながら、頬を膨らませて睨み合っている。 なんだかそれが、ものすんごく羨ましく見えて、同時に岩ちゃんのことが恋しくなっちゃったじゃんもうっ! 『……君達ってすんごい仲良しなんだね?』 『はぁ~~? べっつに仲良しなんかじゃないしぃ~』 そう言いながらもとても嬉しそうで、やっぱり二人は仲良しなんだな…… 『まあ……小中高とずっと一緒だったから、腐れ縁みたいな感じかな?』 『へ~だからそんなに言い合えるんだね……』 俺と岩ちゃんにすんごい似てる…… まあ、この二人は岩ちゃんみたいに、野蛮人じゃないだろうけどねっ☆ それに、周りの陰口を叩く人達とは全然違う。 すっごく感じのいい人達で、なんか親近感が湧く。 『三野村ってそのまま呼ぶイメージじゃないんだよね~』 『ほへ?』 『あだ名つけたいなって思って』 『いやもう、たっちゅんでいーって!』 『私もたっちゅんって呼びたくないんだよね。あだ名何が良いかな?』 『あだ名って! そのままみの虫とかは絶対にやめてよね!!』 『それはさすがにしないよ。 そーだねぇ~……う~んう~ん…… あっ、みのっち! みのっちってのはどーお? 可愛くない?』 我ながら可愛いあだ名を思い付いたよね! みのっちって呼ばれて、嫌だと思う人なんて絶対にいないと思うな~ な~んて自信満々に思っていたけど、みのっちは思いっきり顰めっ面になった。 『それ絶対にやだっ!! やめてよ絶対!』 『どーして? カワイーじゃん!』 『だってそれ、一文字たしたらあのモンスターと一緒じゃん! どのみちみの虫じゃん!!』 『あのモンスターってなんだよ? 訳分かんないこと言わないの! もうみのっちって呼ぶことに決めました! よろしくねみのっち♡』 『やだよ! 絶対やだっ!』 『ふふ、みのっちって可愛いね♡』 『爽香ちゃんまでやめてよ!! ぜーったいやだからね!!』 『それで、君は名前なんてーの?』 ギャーギャー騒ぐみのっちを無視して、女の子に質問する。 『私は木園爽香。あだ名でもなんでも好きに呼んでね』 前まで女の子は全員、名前にちゃん付けしてた。 意味なんて無い。なんとなくそうしてたけど、でももう名前で呼ぶのは飛雄だけだって決めたから。 『木園さんか……じゃあ、きーちゃんって呼んでい? なんか可愛くない?』 『きーちゃんか! 良いねそのあだ名。あだ名つけるの上手いね』 『でしょっ! じゃあみのっちときーちゃんで決定ね!』 『ちょっと! 俺はやだよそのあだ名!!』 『あ、因みに俺は、及川徹って言うんだ。普通に及川って呼び捨てでいーよ』 『自分は変なあだ名つけるくせして、普通に呼ばせようとするなんて、性格悪いなっ!!』 『じゃあ、及川くんって呼ぶね』 ギャーギャー騒ぐみのっちをまた無視して、2人で笑い合う。 この2人なんかすっごい面白いな。 仲良くなれそう♪ それからというもの、よく3人で行動するようになった。 俺が冷たい態度を取ったからってのもあるんだけど、他の女の子達はあることないこと噂して、陰口叩いて正直苦手だ。 もう女の子とは関わりたくないって思ってたけど、でもきーちゃんは他の女の子達とは違って、俺に媚を売らないし、無理に可愛く見せようとせず、自然に接してくれる。 飛雄と出会う前までは、キャーキャー騒がれてすんごいモテて、沢山告白してくれて嬉しかったけど。 でも、今は女の子と関わるのは、本当に苦手でうんざりする。 きーちゃんと話していると、とても楽だ。 こんな女の子久しぶりだった。 みのっちもすんごい面白くて良い奴だ。 みのっちときーちゃんと一緒にいる時間が本当に楽しかった。 だけど…… 俺は、1人の女の子と仲良くしてたら、いけないみたいだ……

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