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第3話
『…ご飯を一緒に食べるだけで、お金くれるんだよ』
クラスで一番可愛いと噂される女子が、小遣い稼ぎに中年のサラリーマンと食事をし、報酬金を貰った話を自慢気にしていたのを思い出した
「……もし僕が女の子だったら……優斗の為に稼げたのに……」
「バカッ、そんな事させるかよ!」
「……でも」
「何とかなるって!」
余りにも思い描いたものとは違う現実に
優斗の苛立ちを隠せない
二人で暮らせたらいい……
ただそれだけだったのに
まだ中学生の僕達には
それすらも叶わない夢だった事に
ショックを隠せなかった
「……優斗、」
僕の手を強く握ったまま優斗は引っ張った
宛もなく人混みを歩く
夜だというのに
妖しく輝くネオン街の澱んだ空気が
僕達をより焦らせた
「……仕方ねーから、どっかで野宿するしかねーだろ」
「………う、うん」
握った掌が熱く湿り気を帯びる
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