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第2話
その日から陽向は
よくウチのクラスへ来るようになった。
「ユキ先ぱーい、昼練誘いに来ました。」
なぜか日に日に苛立ちが強くなってく八神と、
あまり喋れない状況が続いて。
ある日。
「ユキせんぱい、メール見ました?」
「んー、」
とうとう堪えきれなくなったような八神が
横から俺の腕を掴む。
「ちょっと、こっち来て。」
呆気に取られたような陽向の顔に
ごめん!と手でジェスチャーをしながらも
八神に引っ張られるままついて行く。
普段誰も通らないような
屋上に繋がる階段まできて、やっと立ち止まった。
「…八神?」
俺が名前を呼ぶと、
若干苛立ちが混じった声で
「黙って。」
そう言って唇を荒く塞がれる。
「んむ、んんーー」
学校で。
しかも、絶対に人が来ないとは
言いきれない場所で
舌を絡めるようなキス。
「…んっ、や、だ、」
「何が?俺の事嫌い?」
最初は冷たい声に。
次にその言葉に。
「え?」
見上げると
今まで見たことのない無表情な八神で。
ハァッと冷たいため息にビクッとする。
「もういい。」
ほんとに俺の事なんかどうでもいいような顔で
今来た階段を下りていく八神。
「ま、待って。」
思わず八神の服を掴む。
でも、すぐに振り払われて驚いた。
今まで、俺の手を振り払ったことなんてない。
ほんとに、嫌われたんだ、って思った。
俺と付き合ってから
女子の誘いを冷たく断るようになった八神。
女の子を可哀想だと、思う反面、
俺だけは八神の特別だと少し嬉しかった。
でもさっきの八神がとった態度は
他の女子との態度と一緒で
つまり、もう八神にとって俺は
どうでもいい存在。
待って、待って、
俺なんか、したかなぁ。
なんか、八神に嫌われるようなこと、
したのかなぁ。
目の前が真っ暗になって
思わずしゃがみこんだ。
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