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【ほのぼの】シーグルお兄ちゃんの幸せな苦悩(2)
「まった! 一つずつやるから待って!」
まずは傷だらけの弟達を洗ってやらないと!
庭先の蛇口に手をかざして水を出して、傷を洗ってやる。幸い全部軽いかすり傷だ。
「気を付けないとダメだろ」
「「うん」」
グズグズと未だに泣いている弟達の頭を撫でながら、俺は微笑む。
なんか、くすぐったい。困ってるけれど、全然困らない。嫌じゃない。
他の妹も弟も可愛くて、大変で騒がしくて時々頭抱えたくなるけれど、全然嫌だとは思わない。おむつを替えるのも、遊ぶのも、一緒に寝るのも好きだ。
と、思っているのもつかの間、俺は頭から冷たい水をひっかぶってびしょ濡れになった。見ると弟3号が蛇口の魔法石に触れている。
年齢的にまだ魔力の調整など出来ない弟だ、なんとフルスロットルで水が出てる。
「うわあぁぁ!」
「ご…ごめんなしゃいぃぃ!」
「うわぁ! 泣かなくていいから!」
水を止めて、とりあえず他の弟妹も水をひっかぶっててみんなずぶ濡れ。悪戯をして怒られると泣いている弟3号を宥めながら、俺は風呂に入るべく全員を風呂場へと案内した。
風呂で暖まって、ついでに俺は弟と妹を一列に並べて髪を洗ってやる。妹たちの髪はフワフワしてて母に似てる。弟達は少し堅くて父に似ている。
「兄様くすぐったい」
「にいちゃん、頭洗って」
「順番な」
言って洗って湯をかけてやる。さてやれやれと俺も体を洗おうとしていると、弟妹達が手にスポンジを持って待ち構えている。
「ん?」
「にいちゃん、洗ったげる!」
「私背中!」
「俺は髪やる!」
「おわぁ!」
押し寄せるように囲まれて、体のあちこちを洗われる。その顔はどれも楽しそうで、嬉しそうだ。
ほっこりする。そして、愛されてるなって思う。俺は嬉しくて、されるままに洗われている。
湯をかけて泡を流し、一緒に湯船に浸かった。必ず妹なり弟なりが膝に乗っている。そして嬉しそうに拙い言葉で話をしてくれる。それが嬉しかったりしている。
「兄様、お歌歌って~」
「歌? そうだなぁ」
ふと、母が歌ってくれる歌を思い出す。
母の歌は異界の歌で、ちょっと変わっている。でも気持ちよさそうに歌うから覚えている。それを鼻歌で歌っていると、弟妹達も合わせて歌う。浴室はいつの間にか大合唱になった。
タオルで拭き上げて服を着せて、お昼を食べたら鬼ごっこにかくれんぼ。広い庭は遊ぶには最適だ。そうして遊んで、そのうちに下の弟妹は眠そうにする。
「寝ようか?」
「うん」
兄弟を連れて子供部屋に言って、お話を読んでいる内にみんな眠ってしまった。
「やれやれだな」
思いながら、それでも楽しい。でも…うん、やっぱり…。
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