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【ほのぼの】シーグルお兄ちゃんの幸せな苦悩(3)

◆◇◆ 「う…んぅ、もう兄弟はいらないよぉ」  子供部屋で下の弟と妹に抱きつかれながら眠っているシーグルが、そんな事を言う。毛布を掛けに来た俺とユーリスは、その寝言を聞いて目を丸くした。 「ん…んぅ…。7人なんて面倒みられないよぉ」 「ちょ! どんだけ産んだの俺!」  流石にまだ7人なんていない。びっくりして言ったら、斜め後ろでユーリスが笑っている。 「シーグルはすっかりいいお兄ちゃんだな」 「ほんと、しっかりしてるよ。弟や妹の面倒見て、勉強や剣の稽古でしょ? ちょっと子供にしては遊びがないっていうか、もっと我が儘言ってもいいのに」  しっかり者に育ったシーグルは小さな頃は違うけれど、弟や妹が産まれてからはあまり我が儘を言わなくなった。  物わかりがいいのは助かるかもしれないけれど、我慢をさせているみたいで申し訳なくも思える。もっと甘えてほしい、そうも思う。 「ねぇ、シーグルと旅行に行かない?」  親子3人の時間なんて、なかなか取れない。ユーリスには仕事もあるし、俺も下の子の面倒を見たり、ほんの少しお妃仕事をしたりしている。  ユーリスは少し考えて、優しい笑みで頷いた。 「ロアールもエヴァも大きくなった。父や母のいる城に預けて、一ヶ月くらい旅に出ようか」 「いいね!」  シーグルと旅行なんて初めてだ。俺も年甲斐もなくはしゃいで了承した。 「んぅ…7人全員お膝には…」 「それにしても、7人か…」  意外な多さに俺は苦笑だ。だが背後のユーリスはまんざらでもない顔で、俺の首に腕を回す。 「そのくらいいても、俺はまったく困らないよ」  あ、これは今夜のお誘いだ。薬は…旅行の後にしてもらおう。  でも、俺もまんざらじゃない。7人なんて、俺のスキルだとあっという間なのも間違いない。体力もてばの話だけれど。  シーグル10歳、とある春のお話。

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