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【R18】シーグルのお願い(1)
穏やかな日々が続いている。シーグルが産まれてから、もう5年が経った。
シーグルは周囲に人も多いせいか、利発な子に育っていると思う。よく言えばあまり手がかからない。でも、ちょっとだけ寂しい気もする。
俺はお妃仕事も覚えてきた。立ち居振る舞いや会話の方法、主にお客さんを楽しい気持ちにする事が大事らしい。なぜかって? そうする事でいい印象を持ってもらえれば、その後も仲良くできるから。
これに関して、俺はあまり苦労が無い。人と話をするのは嫌いじゃないし、楽しそうにしてもらえるのは嬉しいから。
勿論、ユーリスとの時間は大事にしている。夫婦の寝室は一緒で、できるだけ同じ時間を作っている。時々はそんな気分になって抱き合ったりもしているけれど、薬は使っていない。
どうも俺以上にユーリスはシーグル誕生の時に辛かったみたいだ。俺にとってはもういい思い出なんだけれどな。
午後の穏やかな時間、俺はシーグルを抱っこして本を読み聞かせている。珍しくシーグルが膝に乗りたがってきたから、俺は喜んでそうした。
とっても小さかった赤ちゃんの時が嘘みたいで、もうそれなりに重くなっている。
「ねぇ、母上」
俺の顔を見上げるようにするシーグルに、俺は「なに?」と問いかける。子供にしてはしっかりとした視線で見るようになった我が子が、なんだか頼もしい。
「俺の弟は、いつくるの?」
「え?」
問われた事に一瞬固まる。えっと……弟かい? うーん…。
「アンテロには弟がいるでしょ?」
「あぁ、そうだね」
シーグルを弟のように可愛がってくれるアンテロくんの所には、イヴァンくんという弟がいる。そのせいか、昔は頻繁に遊びにきていたのが最近は少なくなっていた。
「弟、欲しいの?」
問いかければ、静かにコクンと頷く。
とても可愛い要求に、俺は微笑ましくなる。そして、ちょっとユーリスにお願いしてみようかと思った。
俺も子育ての負担は最低限だし、お妃仕事も少し落ち着いた。国の事も勉強できたし、2人目をそろそろ考えてもいいのかもしれない。
何より、やればほぼ間違いなし。産まれてくるの7日後というスピード妊娠スピード出産だ。未だにこれはどうかと思う。そんなお手軽でいいのかよ、生命の神秘。
なんにしても、俺はこの日ユーリスを誘ってみようと急遽決めた。
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