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【初恋】シエルベートの決意(3)

 そっと、肩に触れた手が、腕が抱きしめてくれて、背中をポンポン叩いてくれる。見上げてみたら、ロアールは真っ赤になっていた。とっても困った顔で。 「ダメ、かなぁ?」 「あぁ、いや……嬉しいよ」  その言葉は、どっちに取れば良いのかな。好きって意味? それとも社交辞令? 分からなくて、またジワッと涙が浮かぶ。  するとロアールは驚いて慌てて、直ぐに僕の涙を指の腹で拭ってくれた。 「泣くなよ」 「だって、どっちなの? その嬉しいは、どういう意味なの?」 「嬉しいは嬉しいだ。俺も、その…シエルの事、小さな頃から可愛いって思ってた。天使だって思ってた。それは今も変わんない。シエルの事を守りたくて、俺は今鍛えてるんだ」  照れたような言葉に、僕の心臓は壊れてしまいそう。とってもドキドキしていて、嬉しくて、笑いながら泣いている。 「だから泣くなって」 「うれし涙だよ」 「…なら、いいか」  言いながら、ロアールはそっと抱きとめて、眦にキスをしてくれる。  思った以上に柔らかい感触に、僕は甘えて目を閉じてしまう。すると直ぐに唇にも、触れるだけのキスをしてくれた。 「あの、ね。ロアール、あの…」 「なんだよ」 「僕ね、その…子供産んで貰わないと困るんだけれど…それでもいいの?」  上目遣いに見上げて聞いたら、ロアールはキョトンとした顔をして、次には楽しそうに大きな声で笑う。僕にしたら笑い事じゃないのに。 「真剣だよ! あの、僕ね!」 「バーカ」  ポンと、大きな手が僕の頭を撫でて、次にはとっても優しい、お日様みたいな笑顔が返ってくる。 「俺が産んでやるから、心配するな。俺はスキルもあるし、体力もある。お前に辛い思いなんてさせないし、第一お前が薬飲んだら産まれるの黒龍の子だろ。俺が飲むから、心配するな」  ポンポンと撫でてくれるこの手が、とっても温かくて好き。大きくて強くて、沢山の勇気と元気をくれるこの笑顔が好き。だから僕も負けない。そう思える。 「でもまずは…恋人がいいな。一緒に遊んだりして、楽しい事しよう。それに、いきなり子作りなんて義務じゃないんだし。薬なしで、まずは練習してみような」 「うん! 僕ね、ロアールともっと仲良くなりたいです」  満面の笑みで言ったら、ロアールは凄く赤くなって曖昧に頷いてくれました。

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