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【R18】ロアールの初恋(3)
「ねぇ、ロアール」
「どうした?」
「マコト様やユーリス様に言った? 僕たちの事」
「あぁ、うん」
少し落ち込むシエルに俺が焦る。もしかして、反対でもされたんだろうか。だとしたら不安だ。俺はシエルの事が好きだし、両親も認めてくれた。でも、ガロン様やハロルド様が難色を示すなら、簡単じゃなくなってくる。
ドキドキしながらシエルの言葉を待っていると、シエルは俯いたままに続けた。
「なんて、言ってた?」
「応援するって。家を継がない事も、嫁に出る事も言った。父上も母上も喜んでくれたし、家の事は気にしなくていいって」
「本当!」
途端、キラキラの目が俺を見て嬉しそうにする。この変わり身の早さに、俺は気圧されて頷いた。
「あのね、僕も話したの。母様は喜んでくれたんだけど、父様が相手の家の事もあるから、当人だけじゃ決められないって。ユーリス様とマコト様が反対したら、喜んで受ける訳にはいかないって言われて」
「そっか…」
それで、不安そうだったんだ。俺は納得して、笑った。
「歓迎してたよ。それどころか、式はいつ挙げるとか、子供の予定はあるのかとか、色々言われた」
「えぇ!」
「まだ早いよな」
なんて笑っていたら、シエルは少し恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋める。思わぬ反応に、俺の方がドキドキしてしまう。
「式は、早いと思う。でも…僕はロアールとずっといたいから…」
「シエル?」
「あのね、この湖を少し行ったら、小屋があるんだ。この辺は僕のお気に入りで、その小屋も綺麗に使ってる。それで、ね…」
耳まで真っ赤になったシエルが何を言いたいのか、それは俺にも伝わった。
心臓がドキドキ音を立てている。照れる様なシエルから、とても良い匂いがしてくる。誘ってるんだって分かって、俺だって反応する。
「ごめん、僕こんな…。あの、嫌いになるかな? いやらしい子って、思って軽蔑する?」
モジモジと恥ずかしそうにしているシエルを前にして、誰がそんな事思えるんだ。俺は首をブンブン振って否定して、ガバッとシエルを抱きしめた。
「拒まれるよりずっといい!」
「あの……うん」
顔を真っ赤にして、蕩けるように笑ったシエルに、俺は優しくキスをした。
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