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【R18】シエルベートのお願い(5)
それから、俺は毎日練習した。でも俺は、やっぱりがさつだ。焦って何度もゼリーが砕けた。だからって怯えるとコイツは俺の指を迎え入れてもくれない。
「これはシエル。これはシエル」
そうだ、これはシエルの体だ。俺は絶対にシエルを傷つけない。
ズッ……ッッッ!
「入らない…」
パァァン!
「またやった!!」
俺は頭を抱えた。こういうことは兄上や妹のフランシェが得意なんであって、俺は上手くいった試しがない。
「うぅ、どうしよう…」
やっぱり、少しずつ慣らして行く方法がいいんだろうか。
シエル、待ってくれるかな。痛い思いはさせたくないし、でもお願いは叶えてあげたいし、言ってくれた事はとても嬉しいし、どうしよう…。
「ロアール?」
「うぅぅ、ごめんシエル。俺、お前のお願い叶えてやれなくてぇ」
「何の話? 何をしているの?」
「お前が俺を受け入れられるように色々頑張っても上手くいかないんだよぉ………ん?」
ふと、後ろと振り向いた。柔らかい金の髪に、同じ金の瞳が驚いた様に目を丸くして、次には嬉しそうにゆるゆると微笑む。
「なっ、あの、シエルなんで!」
「最近会ってないから、夜だけどお邪魔しちゃったんだ」
俺は真っ赤になって練習用スライムをしまい込む。それを素早く見とがめたシエルが隣にきて、首をコテンと倒している。
「これ、なに?」
「あぁ、いや、あの!」
こうなると、隠せる自信がなかった。
俺は正直に色々話した。素股とか、俺のなにの型を取られた事は当然言わなかった。言えなかった。
「そんな方法があるんだね。えっと……」
そう言いながら、シエルはぷるんとしたスライムに触れる。
「うわぁ、柔らかくてちょっと冷たい」
そう、クスクス笑いながら何でも無いようにズブズブと指をそこに埋めていく。そして、指先で円を描くようにするとその周辺がぽっかり穴が開く。
「なっ、なんで!」
「え? そんなに難しくないよ?」
「俺、これが出来なくてずっと練習してたの…」
俺の苦労はなんだったんだろう…。
落ち込む俺の肩を叩いて、シエルはニコニコ笑う。なんか、もういいか。得意不得意はあるんだってことだ。ダメなところを競っても仕方がないし、虚しいから止める。
「これって、自分自身にも使えるかな?」
「え?」
コテンと首を傾げたシエルは、その後で首を横にふる。そして妙に赤い顔をして、俺の体に抱きついた。
「今日は一緒に寝てもいい? エッチな事抜きで」
「あぁ、うん。勿論」
俺はシエルにキスをして、そのままベッドに倒れ込む。柔らかなシエルの体を抱きしめて寝るのが、今一番の幸せだったりする。
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