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【R18】シエルベートのお願い(6)

 俺の努力がまったく実を結ばず、兄上から「才能無い」とズバッと言われてしまってから数日。俺は久々にシエルの家、黄金竜の王城へと向かった。 「ロアール、お久しぶりですね」 「ガロン様、お久しぶりです」  父上の親友で、黄金竜の王様ガロン様は昔から何だかんだと遊んでくれるいい人だ。子供が好きっていうのもあったし、俺はシエルとも仲が良かったからかよく遊んでくれた。  まぁ、今の年になるとそれもないけれど。 「シエルが我が儘を言っていませんか?」 「そんな事ありませんよ」 「それならいいのですが。あれも意外と頑固で融通がききませんからね」 「はははっ」  そんな所を可愛いと思ってしまっているので、全く問題ないです。  ガロン様は少し真剣な顔をする。そして俺に、そっと聞いてきた。 「本当に、シエルの伴侶となってくれるのですか?」 「え? はい、俺はそのつもりです。あの、やはり何か問題がありますか?」  一応、王族同士の結婚だからあれこれあるのかもしれない。父上からも結婚するなら早く言わないと準備に時間がかかると言われたっけ。  俺は不安になってガロン様を見ている。だがガロン様は静かに首を横に振って、困ったように笑った。 「私としては、願ったり叶ったりなのですけれどね。貴方はそれでいいのかと思って」 「俺も、願ったり叶ったりですよ」 「そうですか」  嬉しそうに柔らかく微笑んだガロン様は、そう言って子供の頃みたいに俺の頭を撫でた。  俺はその後でシエルの部屋へ向かった。珍しく大人しいみたいで、少し心配だ。いつもは俺が城にくると真っ先に飛び込んでくるのに。  部屋を開けると、シエルは思い切りビクンと驚いて、俺の顔をマジマジと見つめていた。 「あっ、ロアール。ごめん、お出迎え行かなくて」 「いや、それはいいんだけど。大丈夫か? どこか、具合悪いのか?」 「え? ううん、そうじゃないよ」  明らかに顔が赤いシエルを心配して、俺は近づいて額に触れた。熱があるようには見えないけれど…なんだろう?  シエルは俺を間近で見上げて、コクリと喉を鳴らす。そしてもの凄く唐突に俺の服の前を広げ始めた。 「え! おっ、おいシエル?」 「あのね…もう疼いて困ってるの。ロアール、しよう」 「あぁ、いや、でも…」 「嫌?」  そう言って金色の瞳をウルウルさせるシエルに、俺が勝てるわけがない。押され気味に頷くと、シエルは途端にパッと花が咲くように笑った。

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