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【日常】ある日のシキ(4)

 城に戻り汗を流し、寝室に行けば不機嫌な人の姿がある。長身が立ち上がって目の前に来て、噛みつく様なキスを受け入れていく。 「言いつけを守れない悪い子には、お仕置きが必要か?」  耳元で不機嫌に低く流れ込む声に、私の心臓は僅かに加速する。抱き込まれる腕の中、私は笑ってその胸に鼻先を擦り寄せた。 「構いませんよ、貴方が与えてくれるものなら、お仕置きだろうと、なんであろうと」  そこに必ず、愛情があると確信できる。だから私には何一つ刑罰にはならない。貴方の怒りはそのまま、私への心配だと受け止められるから、どんなものも怖くはない。  困ったような表情を見上げ、引き寄せてキスをして、徐々に求められていく。抱き上げられてベッドの上に放り投げられたその上に、愛しい魔王は陣取った。 「困った奴だ。怪我は?」 「ありませんよ。なんなら、アルが確かめて下さい」 「あぁ、そうしよう」  バスローブを剥ぎ取り、肌に落ちる唇の熱さに芯が痺れる。触れる手のもどかしさに、切なさを覚える。  肉欲だけでは無い性行為というものを教えてくれた人の確かな感触は、どれほどに肌を合わせても慣れていかない。いつもあっという間に、私は全てを剥ぎ取られる。  愛しい人の高ぶりを受け入れ、中を暴かれながら吸い付くように。抱き寄せる体にしがみついて、キスをして…。  私は徐々に貪欲になる。誰にもこの人を渡したくはなくて、熱も気持ちも吸い上げるように絡めて取り込んで。 「アル…愛しています…」  喘ぎながら伝える言葉に、深い紫の瞳は穏やかで優しい愛情を乗せて瞬く。抱きしめられる腕に縋り、この身の奥に強く滾る熱を受け入れ、確かな気持ちで穿たれるこの時が、私の何よりの幸せ。離さないと示すように激しく交わる口づけに酔いしれるこの時が、何よりの幸せになっている。  私の、たった一人の人。その人の腕の中で眠る毎日が、私の穏やかな時なのです。

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