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【イカレ竜・R18】育てた息子が伴侶になるまで(3)

 溜息をついて顔を離し、ソファーにどっかり背中を預けたグラース様がぐしゃぐしゃっと前髪を乱暴に上げる。  そういう所、ワイルドでセクシーって評判っすよ。緑竜軍はみんな、この人に骨抜きだ。「一生ついてくっす、兄貴ぃ!!」という野太い雄叫び、知らないっすよね。  ってか、どうしてこんな話しに? 「あの…」 「俺の親族関係でよければ、良さそうなの見繕うか?」 「キシャァァァ!」  突然過去のトラウマ持ち出されて、俺は悲鳴を上げた。なんせグラース様の親族ってのは皆怖いっす! もう、目がギラギラしてて思い切り肉食獣っす! 「だよな…」  溜息と笑いとごっちゃにして笑うグラース様に、俺は首を傾げてしまった。 「ってか、どうしたっすか?」 「ん? これでも責任感じててな。俺達の事で手間をかけてしまって、お前はそうした話しがなかっただろ。このまま一生独身ってのも寂しいだろうし、誰かいるなら取り持ちたいと思っている」 「そんな、気を使わなくったっていいっすよ」 「…イヴァンはどうだ?」 「え?」  ドキッと、心臓が一つ鳴った。これに驚いたのは俺だった。ってか、この人何言ってるっすか? 冗談きついっす。 「イヴァン様って…俺、400超えてるっすよ? イヴァン様今年で200っす。どうしてって、身分的にも年齢的にも合わないっすよ?」  言ったらまた、どっか痛い気がした。疲れてるっすかね、俺。 「…まぁ、いいさ。お前達の問題だからな」 「?」  変な事を言われて、俺は首を傾げた。でもなんか……なんか、スッキリしない感じはずっとしていた。  そうして午後の時間を過ぎたくらいだった。突然慌てたように執務室のドアが開いて、兵の一人が転がり込んできた。 「どうした!」 「それが、突然町の近くにA級モンスターが現れまして!」 「なに!」  緊張した様子でグラース様が立ち上がって、俺も立ち上がった。心臓がドキドキして痛い。思わず服の前を握ってしまって、次の言葉を待っていた。 「誰が対応している」 「第8部隊が駆けつけて、町に被害はありませんが…」 「第8!」  聞いた途端、俺は苦しくて息が出来なくなった。心臓の音がとても大きく聞こえている。飛び出したっておかしくない。  第8部隊はイヴァン様が指揮してる。それが、A級モンスターと対峙している。 「被害状況と応援は!」 「直ぐに出したのですが、それでも苦戦して、それで…」 「それ…で?」 「第8部隊に、大きな被害が出ています。モンスターは討伐されましたが…」 「場所は!」 「ラーシャンの町です!」  俺は駆け出していた。馬なんて悠長なもの乗っていられない。前庭に出て、竜化して飛んだ。そうしてここからすぐそこの、ラーシャンの町の手前に下り立った。

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