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【イカレ竜・R18】育てた息子が伴侶になるまで(9)
「ごめん、ハリス。もう少し上手くやれると思ったんだけど…気持ち良くなって」
「あぁ、いや……」
俺の隣に寝転んだ人は、恥ずかしそうにしている。でも、もう羞恥とか今更っすよ。聞きたい事は沢山あるっすけど。
「あの、イヴァン様」
「ん?」
「…経験、あるっすか? その、後ろ…」
一応、お付き合いを了承した。体の関係も一度やってしまえば気持ちがいいし踏ん切りついた。でも、一応確かめておきたい部分もある。
聞けばイヴァン様はあっさりと否定した。
「ないけれど」
「でも、でも! それならいきなり俺の飲み込むってどうなんすか? 魔力操作だって、最初は痛むって聞いたっすよ!」
主にグラース様からね!
追求したらイヴァン様、顔を真っ赤にした。おいたをした子供の顔だ。何で下の話でそんな可愛い顔するっすか。可愛くないっすよ!
「あの…怒らない?」
「…時と場合によるっす。でも、言わないのはもっと怒るっす。俺、隠し事とか嫌いっすよ」
「あの! あぁ……実は、張り型で慣らしていたんだ」
………は?
受け入れがたい言葉にしばし思考が止まった。そして、回ったら回ったで爆発した。
張り型って、張り型! 一度軍の奴が持ってるの見たけど、そんなのどこで手に入れるの! 怪しいお店があるって言ってたけれど、イヴァン様そんないかがわしいお店に行ってたっすか!
「俺は…俺はそんないかがわしいお店に行くような子に育てた覚えは…」
「あぁ、違うよハリス! 張り型は兄様のコレクションを貰ったものだから」
「アンテロ様はどっか吹っ飛べばいいっす!!!」
気持ちいい事と欲望に忠実すぎるっすよ、あの人も!
俺は色々とあってオイオイ泣いた。そしてイヴァン様が気の毒そうに俺を慰めた。何だこの図。
「あの、泣かないで…」
「うぅ…なんで…いつから…」
「2年くらい前から、週に3回ほど…」
「そんな事してたっすか!」
どんな心境でそんな事を!
イヴァン様は恥ずかしそうに笑う。でも、これに関して開き直ったみたいだ。
「ハリスに痛い思いはさせたくないし、将来的に子供とかになると、体力面とか辛くなるでしょ? それなら私が受け入れたいと思ったから、慣らして」
「そんな…」
そんな事まで? 子供…って、俺の? 産んでくれるつもりで、自分で解して、慣らして?
思ったら、カッと熱くなった。思われている事に、嬉しさと恥ずかしさとでムズムズした。
「まぁ、なかなか言い出せなくてこんな年齢になっちゃったけれど。でも、まだ大丈夫だし。それに、張り型ももういらないかな」
チュッと、啄むみたいなキスが俺の手に落ちる。うっとりとした笑みが俺を見て、幸せそうにしている。
「これからはハリスがいるから、偽物なんていらない。私の体がハリスを覚えるくらい、たっぷり可愛がってもらうから」
「うっ…」
そんなに体力もつかな…正直今も凄い体だるい…。
でも、蕩けるような甘い笑みを浮かべる人を見たら、頑張ろうって思える。満足…してくれるようにやれるだけの事をやろう!
「頑張るっす!」
「うん。ハリス、愛してる」
「…俺も、愛してるっすよ」
抱き込まれる自分より逞しい腕の中で、俺はモゴモゴと伝えた。そして、お休みのキスをしてそのまま、深く深く眠っていった。
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