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【日常・R18】エッツェル留学記8(4)

「あぁぁ!」 「気持ちいい…エッツェル、凄く気持ちいいよ」 「んぅ、僕も気持ちいいよぉ」  ほんの少し痛いけれど、でもそれは直ぐに消える。そもそも魔人族は竜人族に比べたら大きさはないと言っていた。それに僕には母上から継いだスキルがある。  手にしていたグランの尻尾を、僕はまたちゅぱちゅぱと吸った。途端、中でグランの熱が増したと思う。それと同時に、なんだかもっと違う気持ちよさも走っている。 「んうぅぅぅ!」 「ごめん、少し魔力を流しすぎた。エッツェルが俺の尻尾を舐めるからだぞ」 「お腹の中、動いてるのなにぃ?」 「俺の魔力だよ」  僕の深い部分を知らない何かがうねりながら進んでいる感じがする。怖いのに、気持ちがいい。でも、その怖さも直ぐになくなった。僕があまりの気持ちよさにグランの尻尾を離してしまったから。 「ふあぁ、今の駄目ぇ。気持ちいいよ…」 「だろうね。魔人族と交わると、他の種族との性交に満足できなくなるのはこういう理由だよ」  何か柔らかい…スライムみたいなものが僕のお腹の中を這い回りながら刺激していく。そんなおぞましさと同時に深い快楽があった。確かにあんなのに慣れたら並みの事じゃ気持ち良くなれないかも。 「今日はそんなの使わないつもりだったのに、エッツェルが刺激するから」 「んぅ、だって僕もグランの事気持ち良くしたかったんだもん」 「あぁ、分かってるよ。とても嬉しい」  優しく笑う金の瞳。少しだけ、あの人に似ている。でも、今はもうそれはいいんだ。僕は今、目の前にあるこの金の瞳が好き。僕だけを見てくれる、優しく深い瞳が好き。  グランの楔が僕を打ち付ける。深く埋まって抉ってくれる。それだけでもう、分けが分からない。しがみついて、キュウキュウに締め付けてしまうとグランが低く呻いた。 「エッツェル、いやらしく誘っている。気持ちいいんだ?」 「いぃ! いいよグランぅ、もっと欲しいの!」 「あぁ、いいよ。たっぷり飲ませてあげる」  腰を固定されて、深く楔を打ち込むように穿たれて、僕は真っ白に何も考えられなくなる。熱くて、気持ち良くて、痺れていく。グランの精悍な眼差しが、僕だけを見て笑ってくれる。そうして僕は自分が熱い熱を放つのと同時に、深く咥え込んだ奥深くにたっぷりと愛情を注がれるのを感じた。  眠る間際までキスをしたり、抱き合ったりしていた記憶がある。  明けた日差しが室内に入ってきてふと目が覚めた僕は、隣でまだ眠っているグランを見ている。  けっこう、睫毛が長いんだ。それに、思ったよりも少年っぽい部分もある。特に目元、可愛い。視線とか、浮かべる表情とかが大人っぽいから分からなかった。  胸の奥が、とても温かく熱くなっている。この人が僕の大事な人だって、全身で感じてるみたいだ。 「いい匂い…」  昨夜みたいに疼くわけじゃないけれど、ずっと感じていたい匂い。無条件に受け入れてくれるこの腕の中で、ずっと甘えていたい。  ううん、甘えているばかりじゃ駄目だ。僕がグランを支えないと。グランの弱い部分は、とても深い痛みがある。僕がそこを支えて、大丈夫だよって言ってあげなくちゃ。  不思議だな。留学が始まった時は早く家に帰りたいって思っていたのに、今はちっとも思わない。グランの側を離れるのが嫌でたまらない。少しは我慢しなきゃいけないのに、「この人は僕の!」って我が儘を言いたくなりそうだ。  挨拶に行ったら、母上はどんな顔をするかな? ちょっと楽しみな気がする。  僕の留学も、残すところ半年くらいになっていた。

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