132 / 162
【イカレ竜・R18】もふもふ王国への野望(3)
「あ! アンテロ様!」
少年のような明るい声に視線を向ければ、声と同じく元気な人物がこちらへと駆けてくる。
お日様のように明るい、オレンジかかった髪と同色の大きな三角の耳。小さな頭の横から、顔の大きさに負けない大きな耳がついているのだ。瞳は大きく水色で、体は少年のように小柄だった。
「アンリ、おいで」
「アンテロ様ぁ」
子犬のように駆けてきて、手を広げた僕へとダイブした彼はそのまま膝に座ってしまう。人懐っこい笑顔が輝き、スリッと体を寄せる姿は愛らしいものがある。
彼の名はアンリ。犬族の中でも、コーギー種と呼ばれる小柄な種類で、特徴は大きな耳。顔と変わらないくらいに大きな耳が顔の側面からついている。明るく元気で人懐っこく、すっぽりと腕の中に納まるサイズがとてもいい。
「君は相変わらず、お日様に干したふかふかのお布団みたいな匂いだね」
顔の少し下に頭部がある。明るいオレンジの髪に鼻先を寄せた僕は、その匂いを存分に楽しんでいる。なんとも心地よい匂いだし、元気をもらえる。それに、ハーレムにショタッ子が一人いてもいいじゃない?
昔はシーグルもイヴァンも小さくて可愛かったのに、気づいたらシーグルは長身ドS美形へと華麗に転身し、イヴァンは母の体格を受け継いだのか逞しい美丈夫へと変わっていた。実に残念な事だ。
「アンテロ様、どのくらいこちらに居ますか?」
無邪気な様子で問いかけてくるアンリの横では、微笑ましく笑うキャロルも興味を示した見たいにこちらを見ている。
僕は「うーん」と考える素振りをした。そして、ニッと笑った。
「僕の番が決まるまで、かな?」
「「!」」
二人が同時に息を呑み、互いに顔を見合わせる。その様子に、僕はくすくすと笑った。
「あの、そのような用件でしたら是非ボクを!」
「あ、俺も! 俺もアンテロ様の番になりたい!」
黙っていれば穏やか美人のキャロルと、愛らしいアンリが我先にと立候補してくる。獣人族の面白い所は、ここでどちらも引かないし、同時に嫌いな相手でなければ相手を牽制もしないところかな。
僕は思惑通りの様子に笑う。当然、この二人なら僕のハーレムに入れてもいいなと思ったから言ったんだ。
「二人とも、仲良くできる?」
「勿論! 俺、キャロルも好きだし」
「ボクも、アンリの事は好きですよ」
ホクホクっと笑い、二人はニコニコとしている。この二人の相性の良さは、何回か接していて分かっている。
でも、これだけじゃつまらない。二人は可愛いけれど、そればかりじゃ刺激が足りない。
そう考えていると、不意に横合いから気配がした。
ともだちにシェアしよう!