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【イカレ竜・R18】もふもふ王国への野望(6)
パーティーから一ヶ月、僕は離れで生活をしている。
今、この離れで生活をしているのは僕の他ではキャロル、アンリ、ゼノンの三人のみだ。
その中でもゼノンはあまりいない。正式に僕が彼の両親に挨拶をし、彼をもらい受ける事を了承してもらったから、仕事の引き継ぎをしている。
パーティーを開いたり、名家筋と呼ばれる人と会食したりもしたんだけれど……残念、この三人以外はあまり匂いが好みじゃなかった。
僕はションボリと、外を見ている。正確には手紙を待っている。それというのも、ネロに手紙を出していたから。
ネロには、僕がいつまで滞在するのか、君をもらい受けたい。この二つの事柄を書いて手紙を送った。けれどそれに対する答えが返ってこない。
「フラれたかな」
呟いた言葉が意外と寂しいことに、僕自身が気づいて苦笑した。
「ネロを、諦められないのですか?」
お茶を淹れてくれたキャロルが、心配そうに僕を見る。それに、僕は隠さずに頷いた。
「意外かな?」
「かなり」
「そう?」
「あまり、誰かを追うような方には見えないので」
「あははっ、正直だね」
でも、正直でいい。キャロルも、無理に気を使う必要はない。これから夫婦になろうという相手なんだから、あけすけなくらいでいいと思っている。
近づいてきて、そっと僕の唇に重ねてくる。柔らかなその感触に応じて、僕も彼の唇を味わった。
「もしかして、嫌?」
「いいえ、そこは心配していません。貴方がネロを欲しいと思っている事は十分に知っていますし、それを知ったうえで近づいています。それに、共に愛してくださるのでしょ?」
「勿論」
「その約束があるなら、信じていられます」
さっぱりと笑うキャロルに僕も笑い、もう一度ゆっくり彼と唇を触れあわせる。頬に手を添えて、優しく。
「おっ、取り込み中か?」
不意にドアが開いて、ゼノンが入ってくる。そちらに視線を向けて、僕は苦笑した。
「だとしたら、どうする?」
「参加する」
「あははっ、そこが獣人族の面白い所だよね」
竜人族なら真っ赤になってドア閉めて退散するんだけれどね。
でも、それでいいと思う。互いに深く、皆と交わってグチャグチャになってしまうような肉欲に疼くのだから。
キャロルが離れて、ゼノンの分もお茶を淹れる。僕もソファーに移って、お茶を飲んだ。
「今日、ネロに少し声をかけてきた」
不意に、ゼノンが真面目な声で言う。それに、僕は視線だけを上げた。
「何か言ってた?」
「顔を赤くして睨んだよ。ほんと、素直じゃない」
「そっか」
気が無いわけじゃない。けれど、近づいてはこない。それは少し寂しくて、焦りがある。
「僕が行かなきゃいけないかな」
欲しいなら掴みに行かなければいけないのかもしれない。
それこそ父様は母様を手に入れる時、思いあまって拉致して監禁してヤリ倒したらしい。我が父ながら、そこまでするかと思った。だからこそ、同じ事はしたくないんだけれど。
ゼノンは俺を見て、ニッと笑う。何か、悪い事を考えている顔だ。
「今日、お前をベッドに誘うって言っておいた」
「ん?」
何を突然言い出すのかと思った僕に、ゼノンは優雅に足を組んでお茶を飲み始める。とても悪い顔で。
「あいつと二人で飯を食った時に、言っておいた。今日、全員でお前と愛し合うつもりだって」
「そんな予定あったっけ? 別に構わないけれど」
「え!」
キャロルが驚いた声を上げて、次には真っ赤になっていく。大胆なくせに、変な部分でピュアなんだよね。そこも可愛い。
「あいつ、真っ赤になって震えてた」
「カマかけたんだ」
「そういうこと。まぁ、実際ちゃんと決める前に一度いいかと思ってな。みんな、それなりに溜まってるだろ?」
下世話な話を当然の様にするゼノンのこういう部分が好きだな。良くも悪くも自分を隠さない。
それに、確かに体の相性というものを確かめておくのもいい。上手く行かないなら、日々を一人ずつと過ごす事も考えなければいけないし。
それにしても、複数プレイか。さすがに経験がないんだよね。
「そうだね。最初だから、全員でするかい?」
「あぁ、いいぜ」
「構いません。アンリにも、後で確認取っておきますね」
アンリは現在実家に行っていて、今日の夕食くらいには帰ってくる予定になっている。
なんにしても、今夜は刺激的な夜になりそうだ。久々に楽しくて笑みを浮かべた僕は、ここにいない人物が殴り込みに来てくれるのを少し、期待していたのかもしれない。
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