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【日常】新緑の騎士の奮闘記(4)

「闇商人からジュディスを守ろうとして、アンテロは捕まった。そして、兄を傷つけた男達を見てジュディスの魔力が暴走し、結果あの場から離脱出来た闇商人と、既にそいつらに捕まっていたアンテロだけが生き延び、他は敵も味方もなく死んだんだ」  知らなかった。いや、知らせなかったのだろう。そうでなければ、もっと沢山の人がこれを知っているはずだ。 「これが分かったのはアンテロを救出した後、犯人とアンテロ自身から聞いた事だ。ジュディスはこの時の記憶がない」 「覚えていないのですか?」 「あぁ。おそらく消したんだろう。だが深い部分ではこの時の恐怖を覚えているのか、ゴツい男が触れようとするだけで魔力が暴走しがちになる。抑制の方法も教えているが、深層心理の恐怖では抑えが難しくてな。何度かそうして、他人を傷つけてしまって余計に出られなくなったんだ」  それを聞き、私は苦しく手を握った。  お優しい方が、他人を傷つけてしまう事を恐れないわけがない。あの方に消えない傷を付けた者を今更ながらに憎く思えてしまう。  更に、竜人族の子供を攫う輩がいるなんていうのも、許せなかった。 「今も、竜人族の子供は狙われている。大分潰したがな」 「なぜ、そのような事を…」 「希少種というだけで価値がある。それに、そうした子供を買って結婚すれば寿命が延びる。人族や獣人族が、そうした子供を買っているんだ。保護したという名目でな」 「…っ」  許せない。もしも教会の子供達がそのような目にあっていたなら。思えば腸が煮えるような思いがする。 「ルーク」 「…はい」 「こちらも、そのような輩が入らぬように摘発をしている。大分数は減った。この件に関しては、もう少しこちらに任せてもらえないか?」  気遣わしい様子でグラース様は言う。それに、私は悔しいながらも心を落ち着け、一つ確かに頷いた。

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