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13-大悪魔舅と禁断の昼下がり?
ぽかぽか穏やかな昼下がりの逢魔野家。
志樹は仕事へ、黎一朗は学校へ、リリルルも退屈しのぎに学校へ。
「では行ってきます、千里様!」
乙女雄悪魔のルルラルはカノンを抱っこして公園へ。
「いつもごめんね、ルルラルちゃん、カノンの相手してもらって」
「構いません! カノンぼっちゃま、とっても愛らしくって、ルルラル、大好きなのです」
「かのんもーかのんも好きー」
「ッ……カノンぼっちゃまは全く言うコト聞かないリリルルと違って本当イイコなのです」
年中反抗期のリリルルに苦労させられているルルラル、人間・悪魔どちらにも懐っこいカノンを抱き直し、何とも際どいボンテージ服で外へ出かけて行った。
逢魔野家に一人残された自称フリーター、実際はニートの千里。
掃除も洗濯もルルラルが済ませてくれたので、さて天気もいいし久々にパチンコでも行っちゃおーかなー、なんて思ったが。
さすがに何でもかんでもルルラルちゃんに押しつけ過ぎか。
そーだな、飯でも作るか、みんなが好きなカレーとか。
あのだめだめ千里が何と夕食の準備を始めたではないか。
「材料も揃ってんな、兄貴は甘口派、黎一朗は中辛派なんだよな、俺もどっちかっつーと辛めが好みだけど、カノンがなー、よし、甘口にしよ」
味付けもカノンの好みに合わせている、以前のだめだめ千里なら「俺が作んだから俺好みの味に決まってんだろ」と言っていたはずだ。
いやはや、変わるものである。
「エプロンってどこにあんだー? ッぶ……マジかよ、コレしかねーの」
他のエプロンは現在物干し竿で乾燥中、千里は仕方なく残っていたそのエプロンを身につけた。
「最初は皮むきか、ニンジンとかジャガイモ洗った方がいいんだっけ? めんどくせーな、熱通すし、そんままでも、」
ぴんぽーん
鷲掴みにしていたニンジンとジャガイモを一先ず流しに置き、千里は玄関へ。
「新興宗教の勧誘はお断りでーす」
そう声をかけてドアを開けてみれば。
「ご無沙汰しています、千里さん」
ぽかぽか陽射しを浴びて悪魔が立っていた。
ソルルとルルラルちゃんのおとーさまがやってきた。
なんつー格好だ、コレ、マフィア? インテリやくざ? ラスボス?
ストライプ柄の入ったダークスーツにチョッキ、白のネクタイ、胸ポケットには黒のチーフ、同じく黒のレザー手袋。
前回かけていたサングラスとはまた趣の違うインテリジェンスかつスタイリッシュぷんぷんな眼鏡。
「どーぞ」
適当な湯呑みに適当にお茶を淹れた千里、居間のソファに優雅に腰かけていたヒルルの前へ置いた。
「突然、お邪魔して申し訳ありませんね」
「はぁ」
「思い立つと即座に行動に出てしまう性分でして」
悪魔がそれ言うとなんか怖ぇな。
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