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13-3
「は、離して、おとーさま、離せ、この、どすけべエロ悪魔ッ」
「離したら崩れ落ちてしまうでしょうに」
「いーから、離せよ……ッ!」
ちゅっ
「ひッッ!!」
指を吸われて千里は仰け反った。
まるで絶頂と変わらない反応だ。
「可愛いですね、千里さん」
腕の中で苦しげに身悶え、はーはー過剰呼吸している千里の様にヒルルの双眸が妖しげに光った。
「次は唇にしてもいいでしょうか?」
「だっめ……ッだめッ!離せーーッ!!」
ぎゅぅぅぅっとヒルルのスーツに爪を立ててしがみついた千里は必死になって叫んだ。
行動と言葉が矛盾している。
正に体と心がちぐはぐ状態。
ヒルルは微笑んだ。
すでにガクブルな千里をさらに抱き寄せて、ぴりぴり痺れかけていた唇に、唇を……。
「……ソルル……」
抗えない肉欲に巣食われて火照っていた千里の双眸から伝い落ちた涙。
後少しで触れ合いそうな唇の狭間に零れた呼号。
「……ソルル……ごめ……ッぅぅ……俺……お前にしかときめかないって、そう言ったのに……ッ」
ヒルルの腕の中で、その温もりに壊れそうなくらい高鳴る自身の胸底を、千里は罵る。
「俺……こんなん、尻軽の……ビッチみてぇ……」
ソルル、ごめんな。
ほんとにごめん…………。
「千里」
あ、ソルル……なんだ、いたのかよ……相変わらず神出鬼没だな、現場見られたら、もう何の言い訳も……できねーな……はは……。
「おい、千里」
千里は瞬きした。
目の前に迫る悪魔を涙目でまじまじと見上げた。
「俺だ、千里」
「……は?」
「お前を試したかった」
「……へ?」
「お前がオヤジにほんとに靡かないかどうか、試したかった」
……………………。
「え、おま、お前、ソルルなの?」
ヒルル、ではなく、自分の父親である大悪魔ヒルルのフリをしていたソルルは頷いた。
「俺はソルルだ」
……………………。
「こ、殺してやる、この……クソ悪魔ッ」
「千里」
「しね……ッ!鬼畜ッ!性悪ッ!ゲスッ!」
「千里」
「このゲス悪魔ッッ!!!!」
本気で泣き喚く千里を今一度抱きしめた俺様悪魔のソルルは。
人間男嫁に謝罪のキスを注ぎ込んだ。
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