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「どうしました、カノン?」 人間界と悪魔界の狭間でヒルルの影と遊んでいたカノンはぱちぱち瞬きした。 手にしていたオモチャを何となく見、すぐ向かい側で美しく微笑み続けるヒルルの影を見、いやに昏い周りをきょろきょろ。 「せんり、どこ?」 「あああっ、ぁぁ……あっあっあっーーーーッ!」 囚われた下半身に強欲の舌が這う。 混沌の喉奥にまで招待されて咀嚼される。 呑み喰らわれる。 「あっ、あぁんっ、はぁッ、はッ、はッ、はぁッ、あぅッ!」 千里の体は波打って、唇は喘ぎ声を、ヒルルに味見されているペニスは雫を吐き散らして。 双眸からは延々と涙が。 カノンどこいんだよ、ほんとに大丈夫なのかよ、ばかな親、ほんと許して、カノン。 ソルル、ソルル、ソルル。 嫌だ、嫌だ、ソルル、どうしよぉ、ごめん、ごめんな。 このままじゃあ、俺。 助けて、ソルル、助けて。 「……ソルルぅ……」 自由を奪ったはずの唇が息子の名を呼んで。 ヒルルの微笑は愉しげに深まった。 「本当にあなたは素晴らしいお嫁さんですね、千里さん」 「ッ……んんんんっ……!」 嬉々として人間男嫁を完全堕落に導こうとヒルルは千里に再び口づける。 千里は目を見開かせた。 ソルルーーーーーーーーー!! たったっ助けてーーーーーーーー!! 唯一、完全自由な心で悪魔夫の名を叫んだ次の瞬間。 凄まじい咆哮が漆黒の翼と共に舞い降りた。 「?」 カノンはヒルルの影の深黒の翼に囲われていた。 大悪魔によって全てが遮断されているはずだった。 「ぱぱ?」

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