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「うげぇッぎもぢわるいッ!」 ソドムが三つ子の中でも特に好いていたのがサラサだった。 よって集中的にべろべろ攻撃されるサラサ。 紫色のざらざらした舌で顔どころか首筋、服の内側まで執拗に舐め回されて「ふざけんなッ!痴漢!」と激昂している。 「だーかーらー暴れんなッ締まんだよッ!」 「ぬるぬる、きもちわるぃぃ……おぇッ」 あっという間にソドムの唾液塗れになった三つ子。 「「「ママーーーー!!」」」 中身はまだまだこどもな悪魔っこら、ここにはいない人間雄母なる千里を呼んでぎゃーぎゃー散々ぱにくって……。 「ふー、スッキリした。三つ子ちゃん、とっても美味でした。ごちそうさまでーす」 最初の姿に戻ったソドムは長い舌をシュルルと仕舞って合掌し、一礼して<牙の巣>から去って行った。 残された三つ子はというと。 まるで生まれ立てみたいに全身どろどろにされて床に力なく倒れ込んでいた。 「ソドムのやろー……いつか倒すぞ、サラサ・ナズナ」 「アクアぁ……だってあの蛇、火、吐くよ……?」 「お前、盾になれ」 「い、嫌だ……あれ、サラサ……?」 髪の先からどろどろを滴らせてヨイショと起き上がったアクア・ナズナ、しかしサラサはエビみたいに縮こまったまま動き出す気配がない。 「ぅぅ……うぇぇん……」 泣いているサラサに肩を竦めるアクア、心配そうに覗き込むナズナ。 「いやだ~、ぬるぬる、きもちわるい~」 めそめそ愚図るサラサ、普段の傲慢強気な姿勢はどこへ行ったのか。 「お風呂、行こ、サラサ」 「う、動けない、動けない」 「置いてくぞ、自己中弱虫サラサ」 「動けない~」 「っち。行こう、ナズナ……ナズナ?」 イイコちゃんナズナはサラサを置いていくようなことはしなかった。 エビみたいにくるんと横向きに丸まったサラサに覆いかぶさると。 自分よりもどろどろ塗れなサラサの頬をぺろぺろ舐め始めた。 せっせと舌を動かしてサラサを綺麗にしようとしているナズナの献身的な振舞にアクアはため息一つ。 「しょーがねーな」 「あ、アクア」

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