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27-今夜も悪魔とナイトメア

そこは<いつかどこかで夢見たナイトメアが見つかる場所>なんてキャッチフレーズを掲げるテーマパーク。 ホラーをコンセプトにした斬新アトラクション満載のレジャースポットだった。 「えっあそこに行くのかよッ……ですか?」 毎度の神出鬼没ぶりで息子のマイホームに出現したヒルルはカノンを抱っこして頷いた。 贅沢空間なるルーフバルコニーに洗濯物を干し終えたばかりの千里は「うーん」と渋い表情に。 カノンにはまだ早い気がすんだよな。 テレビでパレードの中継見たことあっけど、やたら血糊つけたキャラクターが多かったよーな。 「うーん、やっぱちょっと、」 「今回は千里さんも是非ご一緒に」 「へっ?」 「さぁさぁ。行きましょう」 「はっ? 今からっ? マジかよっ?」 「みなさん、行ってらっしゃいにゃ。お留守番はボクに任せてにゃ」 黒猫版カフカに見送られて千里はホラーテーマパークへ。 なかなかな賑わいである<ナイトメア>で彼を待っていたのは。 「「「ママ!!!!」」」 普段は悪魔界で生活している三つ子のサラサ・アクア・ナズナだった。 予想外の再会にびっくりしている千里に一斉に抱きついて甘えてきた悪魔っこら。 先日、テレビで彼等の姿を見ていた千里は自分より上背ある三つ子にぎゅうぎゅう抱きつかれて息苦しいものの、ちょっと目頭を熱くさせた。 「ったく、立派になったかと思ったら……ぜんっぜん変わってねーのな、サラサもアクアもナズナも」 「「「ママーーー」」」 黒ずくめ正装の三つ子を甘やかしてやる千里、延々とカノンを抱っこしているヒルルは愛情深い息子嫁に微笑ましそうに笑いかけた。 「では我輩とカノンはもう行きますね、千里さん」 何故か血飛沫の飛んでいる馬鹿でかい案内図を革手袋の人差し指で指差す。 「比較的ショッキングでない、小さなお子さんでも楽しめるデスメルヘンゾーンを回ってきます」 「ママーっ、ここっ、ここ行きたい!」 一際ぎゅうぎゅうしてくるサラサが指差した<ブラッディメリーのハイドアンドシーク><ミスブロッサムのミラーハウス>など都市伝説をモチーフにしたアトラクション地帯に完全ヒいた千里。 「……超怖そーなんですけど」 「では夕暮れに落ち合いましょう」 「せんりーばいばーい」 カノン、俺、生きて帰れっかな……?

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