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31-はっぴー・でもん・うぇでぃんぐ

「千里様はシャーベットカラーよりビビッドな色味の方がお似合いなのです」 「こちらのタイプ。細身の千里さんに似合いそうでは」 「ひるる太ー、これー、これ着てー」 「カノン、我輩は着ません、これら全ては千里さんのために用意したものですから」 「確かにマーメイドタイプはお父様にお似合いなのです!」 「ルルラルまで」 目が覚めたばかりの千里はぼんやりと彼らを眺めていた。 なんだ、ここ、俺んちじゃねーぞ。 天井やたら高ぇし無駄に広いし……このベッドだってすんげーふかふか……古くせぇアンティークっぽいインテリアばっかで……どっかのホテルか? それにルルラルちゃん、おとーさまがいる。 なんかこんもり大量にある服見ながら喋ってる。 あ、これ、夢か。 「あっ、千里様がお目覚めなのです」 「おはようございます、千里さん」 相変わらず露出度の高い格好をした乙女雄悪魔ルルラル、全身ダークカラーコーデのフォーマルでビシッと決めた大悪魔ヒルルがぼんやり千里に揃って視線を向けた。 「せんりー」 背中にちっちゃな羽を生やしてぱたぱた飛んできた我が子をキャッチし、千里は、ゴージャスなベッドからヨイショと立ち上がる。 「これから千里様の結婚式なのです」 やっぱ夢だ、コレ。 「無礼極まりないかと思いましたが就寝中の千里さんをコチラへ運びました、千里さんはどのドレスがお好みでしょう」 かんっぜん夢だわ、うん。 「せんり、シンデレラになる?」 「カノン、シンデレラじゃありません、花嫁です」 ……誰か夢だって言ってくれ、頼むから。 「夢じゃないぞ、千里」 千里は目を見開かせた。 永遠の闇夜に支配された悪魔界。 ヒルルの黒き城。 控室ならぬゴシックラグジュアリーなお部屋の扉前に立つソルルを凝視した。 「今から俺とお前の結婚式だ」 撫でつけられた白金髪。 着崩した燕尾服。 長身で細身の筋肉質、ただでさえべらぼうにおっとこ前だというのに、いつにもましてイカして見える悪魔夫。 か、か、かっこいい~~~っっ。 「じゃねぇッ、けけけッ、結婚式ぃ? んな馬鹿げた話あるかよッ、つぅかここどこだッ、寒ぃッ、コタツ出すレベル並みに寒ぃ!!」

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