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初訪問となる悪魔界にいることを知らされて呆然自失となった千里にルルラルは嬉々としてドレスをあてがう。 「やっぱりビビッドな色味がお似合いなのです!」 とうとうソルル側の世界に来ちゃったよ、俺。 今まで意地でも来なかったのによ。 期間限定でカノンとぜひご一緒に、なーんて移住勧められたこともあったけど、おっかねーから泣いて断ったし。 今まで、さんっ…ざん色んな目に遭わされてきたけど、身を持ってわかっちゃあいたんだけど、悪魔の世界にがっつり踏み込んじゃったのかよ、俺。 上機嫌な弟ルルラルに好き勝手に次から次にドレスを宛がわれている人間男嫁の呆然自失っぷりに兄ソルルは肩を竦めた。 「結婚式はあいつらの提案だ」 「あいつらって誰だバカヤロー」 「俺とお前のこどもの三つ子だばかやろー」 サラサアクアナズナ? あいつらの提案? 「三つ子は我輩にお願いしてきたのですよ、千里さん」 懐にカノンを抱いたヒルルは彼らが懇願してきたときの様子を棒立ち千里に教えてやった。 『おじい様、おれたち、もっと宿題やる』 『だから、ご褒美、ください』 『お願い、きいてください』 「何でもそちらの世界で結婚式を見かけて感化されたようで。貴方も祝福されるべきだと」 「へぇ、あいつらがそんなこと……ところで宿題って?」 「千里様! いっそのことルルラルめとお揃いの衣装はいかがです?」 むりーーーー。 「つぅかなんでドレスだよ。俺が花嫁サイドなのは百歩譲って仕方ねーけど、ブーケ持って裾引き摺ってバージンロード歩いたりなんかしねーからな」 「千里はワガママな嫁だ」 「あーのーなー。つぅかなんで寝てる間に拉致同然に連れてこられてんだよ!」 「以前、カノンと一緒に連れていこうとしましたら、嫌だと駄々をこねられましたので。今回はこっそり」 悪びれるでもなく無駄に美しむ微笑むヒルルに千里はため息を噛み殺す。 そうして甥っ子・黎一朗の乙女雄悪魔嫁であるルルラルの頭をぽんぽん撫でた。 「色々合わせてもらって悪ぃけど、ルルラルちゃん、ドレスじゃなくてタキシード頼んでもい?」 つい先ほどまでは混乱する余り腑抜け状態にあった千里、しかしヒルルの話を聞いた途端、落ち着きを取り戻したようだ。 ついこの間まではいつまで経っても親離れしねー甘ったれ共だと思ってたのに。 ちょっと会わない内に、いっちょまえなコト言うようになりやがって、あいつ等。 「その節はお熱いビンタをどーも」 「貧弱な胎に百人孕む覚悟はできて?」

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