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「あ゛ーーーも゛ーーーッ、夜のお散歩とかほんとはさせたくねーんだよ、でもカノンが行きたがるから!? 駄々こねるから!? 仕方なく行かせてやってんの! でも冬場とか寒ぃし風邪引いて熱出すかもしんねーから!! 嫌なんだよ!! あ゛ーーー!!」 がっちゃんがっちゃん後片付けしつつ怒れる独り言を連発する千里、もうすっかり人間雄母している、さすが卵を孕んできただけある。 すでにヒルルはカノンとカフカを連れて夜のお散歩に出かけていた。 「千里」 「あ? からあげもうねーぞ! つぅか一回で業務用完食すんじゃねーよ! どこの腹ペコ猛獣だよ! 仕込んだり揚げたりすんの大変なんだからな!?」 荒々しい食器洗いの手を休めずにエプロンを着用した千里は背後までやってきたソルルに言い放つ。 が、今のはさすがに八つ当たりが過ぎたかと、反省して、謝ろうとすれば。 「俺が一番立派だ」 またその話かよ。 先程、千里が動物公園にいたライオンを褒め称えればやたら張り合ってきた悪魔夫がまーた対抗心を見せつけてきた。 呆れながら、まぁ可愛くないこともないかと、苦笑した千里が振り返ってみれば。 「え」 漆黒の獣が目の前にいた。 ゆったり広々なキッチン、恐ろしくつやっつやなタテガミを靡かせた、無駄な脂肪など皆無な筋肉質ボディ、いかした鋭い目つきの、ライオンによく似た魔獣が真正面に迫っていた。 一般家庭の奥様ならば卒倒したに違いない。 しかし悪魔夫との間に混血悪魔っこらを産み落とし、三つ子に至っては「種付けもどき絶頂」の相手にまでなった人間雄母、驚くどころか……ぱああああっと顔を輝かせた。 「ソルル? お前ソルルなのかよ?」 床に座り込んだ千里はまじまじと獣化した悪魔夫を覗き込んだ。 三つ子よりも大柄だ。 喉奥で奏でられる猛々しい唸り声。 閉ざされた上顎の皮膚をえいっと持ち上げてみればギラリと輝く牙。 「すげぇ、やっぱお前もこーいう姿になれるんだな、初めて見た」 動物公園ではオッドアイのライオンに怯んだ千里であったが。 獰猛な獣姿に変わろうとソルルはソルル、顔やら耳やらぺたぺた触りまくった。 「へぇ~~タテガミふっかふかじゃねーか、マフラー巻いてるみてぇ、耳は柔らかいのな、おーい、聞こえるかソルルー!」 ソルルは千里のされるがままだ。 タテガミや耳をいくら引っ張られようと、じっとしている。 こどもみたいにソルルでじゃれていた千里はおっとこ前な魔獣を力いっぱい抱きしめた。 「うん。お前が一等賞。ダントツ一番かっこいい」 ボリューム大のタテガミに頬擦りし、顔を埋め、耳の近くに唇を寄せて照れくさそうに囁きかける。 「さすが一等賞のダンナ様、俺も惚れ直しちゃったぞ、ソルル」 いつにもまして過激なベッドスキンシップに薄暗い寝室全体が揺らめくような。 「あ、あぁ、ぁ……っふ、ふ、深ぃぃーーーー……っ……腹まで貫かれて……ッッ」 ベッドにうつ伏せになった素っ裸千里はクッションにしがみついていた。 獣化悪魔夫との初交尾。 末恐ろしいまでの発達を遂げたスペシャル魔獣巨根に尻膣全開拡張、限界奥までぐっっっっさり貫かれ、突かれ、穿たれて、悶絶ヒィヒィが止まらない。 「ガチでケツ全壊するぅ゛ぅ゛ぅ゛う゛ッ……!!」 それはそれは逞しく頑丈な腰をリズミカルに振り下ろす獣化ソルル。 爪が立てられたシーツは引き裂かれてマットレスにまで達している、寝具の買い替えは必須のようだ。 なんかアナコンダかっていうくらいのブツなんですけど、コレ。 おっかねーくらいのサイズなんですけど。 でも、いいんだな、これが。 「ソルっ……ソルルぅ……これぇ……めちゃくちゃ大きぃっ……おなかぁ、すげぇ、あったかぃ……っ……あったかくて、きもちいい……っ」 「千里」 クッションに縋りついてヒィヒィしていた千里は目を見開かせた。 慌てて背後を仰ぎ見れば相変わらず獣型でいるソルルと目が合った。 「俺の可愛い嫁」 「ッ、ッ……お、お前……喋れんの?」 「当たり前だ」 「ええええッ、だって、サラサアクアナズナは獣化したら喋れなかったぞ!?」 「俺は喋れる、何せ一等賞だからな、そもそもイチイチ我が子らと比べるな、親の俺の方が偉いに決まっているだろう」 ヒト擬態したときよりも流暢に話すソルルに千里は……何だか慣れずに前にもまして腹底をキュンキュンさせた。 「締まったぞ、千里」 「ひッッ……そ、そこぉ……」 「ここが堪らないのか?」 超絶巨根で堪らないところをゴリングリンされ、涙とヨダレを散らして上体反らしばりにビクビク仰け反った。 「はあんっ、いいっ……たまんない……っ」 「俺も堪らない、千里」 毛色が黒いためにやたら色鮮やかに見える舌が千里の首筋から耳元まで一気にべろりと舐め上げた。 「は、あ、あ、あ、あ、あ、あ」 全身ゾクゾクさせ、肌の隅々まで紅潮させてよがる千里にソルルはさらにのしかかった。 勇ましい漆黒の巨躯が人間男嫁を完全に覆い隠す。 小刻みに限界奥を突き上げられた。 上質ローションさながらな悪魔かうぱぁが滲み渡り、全体的にぬーるぬるになった尻膣を余すことなく超絶巨根にしっかりたっぷり可愛がられた。 「はあああんっっっ」 「千里、俺以外の奴に目移りするんじゃないぞ……? いいな……?」 いつになく重低音で、それでいて優しい声色に千里はぶわりと涙した。 尻膣まで名器の如くゾクゾクブルブルさせ、悪魔夫の大事な大事な熱源を全力抱擁し、健気に献身的にもてなした。 「お前、ここで返事をしているのか」 「ち、違ぁっ……勝手に締まんだよッ……あぅぅンっ、だめっ、もぉいく、ぅ……っ」 「誰よりも健気で可愛い嫁め」 「っ、それやめっっ……ソルルっ、ソルルぅ……っ……いっちゃぅっ……俺の精ぇ子しゅンごいでちゃぅぅーーーーッッ……!!」 百獣の王ならぬ俺様な優等生悪魔に求愛され、身も心も改めて捧げた人間男嫁なのだった。

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