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強引な吸血鬼×酔っぱらいの青年
目を覚ますと、勘太は周りが薄暗いのと空気が冷たいことで外で寝ていたことに気がついた。
少し頭を動かすと、ズキッと痛みが走り、クラッとめまいがして思わず下を向いた。
「まぁ、あんだけ飲んだら……なぁ」
勘太はそう言ってフッと笑い、何気なく目の前を見た。
いつのまにか中くらいの大きさの黒猫が勘太のことを見てニャーと鳴いた。
「お前も1人か……ん?」
勘太はそう黒猫に話しかけて右手を伸ばした。
黒猫はニャーと鳴きながら勘太に近づき、勘太の手のひらをペロペロと舐め始めた。
「誰か遠くに連れてってくれへんかな……なんて、お前に言ってもしょうがないか」
勘太は黒猫に向かってそう言って苦笑いをしたあと、ふっと上を向いた。
すると、首筋に痛みを感じ、グッと身体に何かがのしかかってきた。
「な、なんやお前……」
「だまっとれ、アホ」
さっきまで黒猫だった青年はそう言ってまた強く噛みついてジュルジュルと吸い始めた。
勘太は気持ち悪いのと気持ち良いので複雑な気持ちをいだきながら動けないでいた。
だんだんちからが抜けてきてヤバイと思った勘太はちからを振り絞り、その青年を自分から引きはがした。
青年はバンッと壁にぶつかり、いったいわぁと声を上げた。
「何が目的や……」
勘太はドクドクと流れ続ける血を右手で抑えながら青年にそう問いかけた。
青年はククッと笑って勘太のことを優しく見る。
「お前、俺のもんにならんか?」
「……誰がなるかボケ」
勘太はそう言って青年を睨みつけた。
青年はハハッと笑い、瞳を大きく見開いて勘太のことをじっと見つめた。
「うっ……はっ……」
勘太はそう息を吐いたあと、ガクンとうなだれてしまった。
「生意気なやつ……嫌いやないわ」
青年はそう言ってフッと笑った。
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