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表情豊かな吸血鬼×弱気な青年

「ちょっ、アカンって!アカン……俺の血おいしくないで!!」 ジリジリと近寄ってくる吸血鬼に向かって俺は思い切ってそう言ってみた。 「……はぁ?」 イラっとして目を細める色白の彼にビクビクしながらも俺はこう言った。 「家の近くに教会あるし、餃子好きやし……あとは、えっと」 「うるさいわ……」 抵抗も虚しく彼の指は俺の首筋に縦線を描いた。 「あぁ……うわぁ、いぁ……ううっ」 ジワジワと痛む熱と流れるものの冷たさを逃がそうと身体がうごめく。 それを見た彼はニヤリと笑って、静かに首筋に口づけていった。 「いっ、いった……いったぁ~!!」 首筋から聞こえる音の気持ち悪さよりもツクツクと増してくる痛みに耐えられず、思いっきり叫んだ。 ジュウゥゥっと思いっきり吸われた時にはううっとうめき声を上げるので精一杯だった。 「お前、名前は?」 いつのまにか閉じていた目をあけると、彼は虚ろな目で俺を見ていた。 「名前、はよ教えてや」 「……翔希です」 俺は正直に名前を言うと、彼は優しく微笑んでくれた。 「翔希、俺の目見て」 そう言って彼は真っ直ぐ俺のことを見てきた。 「こ、怖い……怖いよぉ」 あまりの怖さに震える身体を止めるために、両手を胸の所で交差させて肩をギュッと掴んだ。 「こいつ、効かんのか……」 彼はそうつぶやいて左手で髪をクシャクシャしながら右手をズボンのポケットに入れていた。 「アカン、チョコ忘れてきたわ」 彼はそう言ったあと、顔をすぼめて苦しそうな表情をしていた。

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