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第3話
◆◆◆
「未央、出来たよ」
呼ばれたのはソファーに座ってから30分くらい経ってだった。
夕食は未央が好きな物ばかりで少し目がキラキラと輝く。
席に座ると飛鳥が取り皿に色々と乗せてくれた。
「ありがとう……ございます」
小さい声で礼を言う。
飛鳥と律も席に着いたので一緒にいただきます。をして食べ始めると「うまい……」素直に食べた感想を言う未央。
「えっ?本当?良かったあ、未央くんの口にあって」
ニコニコ微笑む飛鳥。
「飛鳥は料理美味いんだ……調理師の免許持ってるから」
自分の父親、律の言葉に「えっ?花屋さんでしょ?」と聞いてしまった。
「昔ね……高校卒業してちょっとしてから通ったんだ……随分昔だよ」
ふふと笑う飛鳥。
「随分昔って……若いでしょ?」
飛鳥の容姿は凄く若いので不思議そうに聞く未央。
「えっ?若く見えるんだ?いくつに見える?」
ワクワクしたような飛鳥の顔が可愛い。
「えーと、25くらい?」
「わあ!そんなに若く見える?僕、30過ぎてるよ?」
嬉しそうに未央を見る飛鳥。
「えっ……オッサン……」
驚く未央。10代の未央からすれば30過ぎは立派なオジサンだ。
「うん、オッサン」
ニコッと微笑む飛鳥。
「いや、オッサンには見えない……です」
オッサンという失礼な言葉を使ってしまったと慌てて否定した。
「ふふ、ありがとう」
飛鳥は嬉しそうに笑う。
そんな2人の会話を律はニコニコしながら見ていて「未央と仲良く出来そうだな飛鳥」と言った。
「未央くん素直で可愛いし、僕は仲良くなれると思うよ」
ねっ!みたいに微笑んだ顔で未央を見る。
「未央は?」
未央は?と聞かれて……仲良くなれたらいいなって思ったのだが、何故に父親がそういう事を言ってくるのか疑問に思った。
「何で……そんな事聞くと?」
疑問を言葉にすると「実は父さん……再婚しようかと思って」照れた顔で答えられた。
再婚っていう言葉に驚く未央。
「えっ?再婚……」
心拍数が一気に上がる。
今までそんな素振り一度も見せた事ないのに。
「未央にずっと不自由かけてしまって……お前だって遊びたい盛りなのに部活もしないでスーパーの特売とか気にして……ほら、テツくんみたいに部活とか……勉強にだって集中出来るし」
律の言葉は頭にはあまり入って来ない。
一体いつから父親は再婚相手と出会い、付き合って結婚しようとまで思ったのだろうか?
せめて、気になる人がいるんだ……とか聞いてたら。突然に再婚するんだって言われても感情と考えがついてこない。
そもそも……誰と?
あれ?何で飛鳥さんが居るのだろうか?
あ!!もしかして再婚相手の息子さん?
じゃあ、飛鳥さんがお兄さん?
少しだけ今の状況を頭の中で追いつかせる事が出来た。だから、飛鳥がここに?
飛鳥をじいっと見ると微笑まれた。
優しそうな彼。
兄弟がほしいなって昔から思っていた。家に帰って1人で留守番とか寂しかった。こういう時に弟とか兄とか居たらいいなって思っていた。
料理も美味いこの人がお兄さん……とか?
しかも、綺麗な人。
「じゃあ……飛鳥さんが……」
俺のお兄さんになるの?と聞こうとしたら律に「うん、飛鳥が再婚相手だ」と言われた。
すぽーん!!と何かが頭から飛んだ気がした。
おかげで頭は真っ白しろ。
えっ?えっ?なに?俺……日本語不自由になったのかな?今の言葉理解できないんだけど?
どうして良いか分からず律と飛鳥を交互にみた。
「もう1回言って?」
「えっ?あ……飛鳥が再婚相手」
再婚相手……と聞こえた。俺の耳は正常ではないらしい。
「えっ?再婚相手って言った?飛鳥さん男に見えるけど?」
あ!!飛鳥さんもしかしてボーイッシュなだけ?と思い直しても彼の喉には喉仏がある。
「飛鳥は男だよ?」
それが何か問題でも?みたいな顔の律。
「……律さん、未央くん固まってるよ……こういう繊細は問題は思春期の男の子には……大丈夫?未央くん」
飛鳥が立ち上がり未央に触ろうとするのを咄嗟に弾いて「ご、ごめん……俺……ちょっと」と立ち上がると凄い勢いで自分の部屋に走り込んだ。
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