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第4話
未央はすぐ様、ベッドに飛び乗るとシーツの中に潜った。潜ってから頭の中を整理する。
えーと、なに言われたっけ?
再婚……するとか?
あと……あの人を紹介されたんだ。花屋のあの人。
名前が分かった時は嬉しかったのに……なんでか今は手が震える。
えっ?えっ?なんで?オヤジ……今まで恋人の存在とか……と考えて。あっ、自分が子供だからだと思った。
子供に恋愛相談とかしても相談にならない。頼りにならないかも知れない。でも……でも、話くらいはしてもいいんじゃないの?
頭の中がまだ軽くパニックで考えがまとまらない。
するとドアをノックされた。
「未央くん……大丈夫?」
飛鳥の声。
未央は答えない。
「未央……飯途中だぞ」
……くそオヤジいい!!!何のんびりご飯の心配してるんだよー!誰のせいでこんなにパニックになってると思ってんだよ。
「未央、入るぞ!」
律の声。
「ちょー!!何勝手に」とシーツから起き上がると既に2人は部屋の中に居た。
「は、入るぞってもう入ってんじゃんかーくそオヤジいいい!!」
文句を言う未央。
「ごめんね未央くん……」
飛鳥がしょんぼりとした顔で未央を見ている。
凄く悲しそうで未央の心はチクッと痛んだ。
「びっくりしたよね……お父さんの再婚だけでも驚くのに僕が男だし」
飛鳥は俯いている。でも、どんな言葉をかけて良いか分からない。
「未央は反対か?」
律に詰め寄られる。
未央はだんまりのまま。
「やっぱり……僕がダメなんだね……男だもんね。学校とかでいじめられたりとかしちゃうかもだし、同性婚ってまだ差別あるし……」
飛鳥の声は元気がない。
自分を責めているようで胸が痛い。辛い言葉を本人に言わせているという重さも未央には耐えれない。
「お、俺……」
未央は言葉をためると律に「家出する!」と行って立ち上がるとスマホを持ち、2人の間をすり抜けた。
「ちょっ!!待て未央!」
律が追いかけてきたが間一髪ですりぬけて外へ出た。
律と飛鳥が追いかけてくる足音が聞こえるが未央はそれを無視して走る。そして、物陰に隠れて2人をやりすごした。
これから……どうしよう。
未央はため息をつく。
◆◆◆◆
テツが自分の家の玄関近くに行くと小さい声で「テツ」と聞こえた。
ん?とキョロキョロしていると「こっち!」とまた声が。その声のする方へ視線を向けると「未央……何やってんの?」と未央が植木に隠れているのを怪訝そうな顔で見つめる。
「周り、誰もおらん?」
「は?おらんけど?お前何やってんだよ」
「なあ、こっそり部屋にあげて」
「は?堂々と玄関から入れよ」
「いいけん!2階の窓開けとって!上ってくるけん」
未央に言われて首を傾げながらテツは「ただいまあ」と玄関に入り。自分の部屋に。
勝手知ったるテツの家。テツの部屋へ行くルートも未央にはお手の物。物置に置いてあるハシゴを使った。
テツが部屋の窓の鍵を開けて入れてくれた。
「ありがとう」
未央は靴を脱いでテツの部屋に。
「なに?スパイごっこ?」
「お前、それ小学生の時の遊びやん」
「どーしたん?オジサンと喧嘩でもした?」
未央はテツのベッドに潜り込む。
「お前、何人のベッド占拠しとんじゃー!」
「今日……泊めて……帰りとうないけん」
小さい声で言う。
「……何その、覚悟決めた彼女みたいなセリフは?」
テツは冗談っぽく言う。
「再婚するって」
「は?」
突然の言葉に思わず聞き返すテツ。
「今日……紹介された」
「オヤジさん!ついにか!」
テツはちょっと嬉しそうにする。
「なん?お前、それで家出?あー、奥さんになる人にヤキモチかよ?ファザコンやけんなお前」
からかうように言う。
「ファザコンやない!!」
未央は勢い良く起きあがり文句を言う。
「ファザコンやて!そうやっていじけてオジサン困らせてきたっちゃろ?大人になれさ……オジサン男手1つで育ててくれたっちゃけん幸せになって貰わんとさ……息子なんやから」
テツは大人びた言葉を言う。
「……相手、花屋の人」
ポツリという。
「ん?花屋の人?あ!お前、そう言えば家に花屋の人が来って……えっ?花屋の人のお姉さんとかお母さんとか?」
テツでもやはりそう言葉にする。彼本人だとは頭にないのだ。
「再婚相手は花屋の人!!」
また、未央はシーツの中へ。
「えっ?あの人女の人やったん?」
「男やし!!」
「えっ……あー、」
テツは未央の家出の理由にやっと気付いたのだった。
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