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第5話
テツもどう言葉をかけて良いか迷っているように未央は感じる。
未央自身でさえどうリアクションして良いか迷うから。
再婚とか突然言われたし、連れて来たのが花屋の人だったし……そもそも、いつから付き合ってて、いつそういう話になったのだろうか?
自分に相談もなしに?
色々と考えると辿り着くのが自分に何も相談がなかったという事だ。
そして考える……逃げてきたのはビックリしたのと相談も無しだったから?突然聞いたからかな?それとも花屋の人が再婚相手だったからかな?
うーん、と考えて結局分からない。自分の事なのに。
「なあ……とりあえずさ、オヤジさんと話し合えば?家出してるなら捜してるだろうし?」
「やだ!帰らない」
シーツの中から即答。
「お前ね、明日学校とかどーすんだよ?着替えしに行かなきゃならんし」
「休む……」
「アホかあ!アホが益々、アホになるぞ?」
テツの言葉に失礼な!!と思った。
「帰れないならオヤジさんに迎えに来て貰うか?」
「やだ!そんな事するならテツんちも出てく」
「はあ?行く宛あんの?」
「野宿する」
「蚊にさされるぞ?」
「心配するのそこかよ……蚊とか」
「だって、野宿できないって知ってるからな」
くそ!!と思った。ずっと子供の頃から一緒だから性格とか知り尽くされている。
「じゃあ……テツんとこの野崎先輩んち行く……あの人、家が遠いけん1人暮らしやろ?」
未央はシーツからようやく顔を出して起き上がる。
「先輩はやめとけ」
「なんで?俺とも仲良くしてくれるし、いつでも遊びに来いって言いよったもん」
「……くそ、分かったよ」
何やらテツは先輩のとこに行かせたくないからか「分かったから出て行くのはやめろ」と納得してくれた。
「でも、いつまでもここには居られない事くらい分かってんだろ?」
コクンと素直に頷く未央。
「どうしたいんだよ?再婚やめて欲しいのか?」
その言葉に黙り込む未央。
「男だから嫌?」
それにも答えない。
「オジサンが誰と恋愛しようかオジサンの勝手だと俺は思う……いくら息子でも禁止させるの可哀想やない?」
「……分かっとる!分かっとると!頭がついてこんだけ」
俯く未央。
「未央、アホやけんな」
「アホ言うな!」
「アホやん!家出とか……お前、幼稚園の時からワンパターンでオヤジさんと喧嘩するとうちのに家出してきてからくさ」
「うっさい!」
「だからオヤジさんも今、未央がどこに居るかはバレとるやろうなあ……下、騒がしいばい?」
テツの言葉で何やら下が騒がしい。そして、階段を誰が上がってくる音。
「テツ、お前、未央くんに会ったか?律がべっぴんさんと未央くん捜しに来てるんやけど、来てないよなあ?」
テツの父親の声。来てないよな?は気付かなくて当たり前、玄関を通ったら即座に律に報告が行ってしまうのでハシゴを使ったのだ。
「べっぴんさんって誰?」
「食いつくのそこか?」
ドア越しに話す。
「だって気になるやん?」
「まあね、で?未央くんは?」
「いるよ?」
「うおおおい、テツ!!」
まさかの裏切りに未央は慌てる。
「あ、ハシゴ使ったのか」
あははと笑うテツの父親。そして「りょーかい」と言ってドアは開けずに降りて行った。
「テツ、いきなりばらすなよ!」
裏切り者という顔をしてテツを見る。
「直ぐにバレるやん?それに心配させるのは可哀想やろ?デリケートな問題やし?未央が大人の行動取れてたら心配は増えないとけどな」
「うっせえ!!俺はテツみたいに大人やなかもん!!」
ぷうーと頬を膨らませる未央。
「ガキやなあ……未央」
その頬をガシッと片手で掴む。
「オヤジさん取られた不満やろ、どーせ」
と鼻で笑われた。
「ち、違うし!!お、男とか再婚相手に……嫌やん!!男とか……男とかにお母さん呼べ言うとか?気色悪かぞ!!」
その言葉でいきなりテツにその場に押し倒された。
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