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第14話
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「っ!今何時?!」
「お目覚めか?もう20時過ぎてるぞ」
「やばい、帰らないと!」
俺が寝ていた隣で悠長にスマホを弄っている男に時間を言われ、ヤバイと思った。
慌てて服を着てベッドから立ち上がろうとすると、腰が痛かった。お尻も何か変だし。
とうとうセックスしてしまったのだと実感する。ごめんよ弟、兄さん非処女になってしまったよ…。
「そうだ、お前幾ら欲しいんだ?」
「え、えーと…分からない…」
「は?金に困ってるんじゃねぇのかよ」
「そ、そうだけど…」
フェラは1万だったけれど、セックスって何円だ?処女も捧げたんだ、余りにも安くてもショックだし、かと言って高すぎてもなぁ…。
俺にはそんな知識はひとつもないので明確には分からない。
「じゃあ、とりあえず10万渡しとく」
「じゅ、10万!?!?ダメダメ!流石に貰いすぎ!」
「たった10万で何言ってんだよ」
「たった10万!?!?金銭感覚バカなのか!?」
たった10万って言ったこの人、たった10万って!
俺はその10万稼ぐのにどんだけ苦労してると思ってるんだ!ハゲ課長に嫌味言われて、取り引き先からは「もっとベテランを寄越せ」と言われ…。うわ、なんか悲しくなってきた…。
「バカじゃねーよ。…あと、もうこんな事止めろよな。金の為とはいえ体を売るとか」
「…俺だって好きでやってるわけじゃない。…でも、弟の為に俺が何とかしないと…」
俺だって好きで男性器を舐めるなんてしない。気持ち悪いし。だけど、それでも続ける理由は…。
春樹を高校に行かせてやりたい。ちゃんと大学に行って、少しでも夢を叶えるチャンスを与えてやりたい。
愛しい弟の為なら、どんな嫌な事でも耐えられる。
だって俺は兄だから。いつでも強くいないと、弟を不安にさせてしまうから。
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