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第18話
連れてこられたのは有名なチェーン店ではなく、何だか高級そうな庶民は絶対に入らないであろう佇まいのお店。
ここ絶対高いところだ…。
レンさんは常連らしく、店主さんらしき人と親しげに話していた。
個室に通され、二人きりになってしまった。
「好きなもん適当に頼んでいいから」
「……」
いや、さっきからメニューを見てるんだけど… お肉の部位とか分からないし、しかも値段めちゃくちゃ高い!お肉ってこんなに高いものだっけ?いや、そんな事ないと思う!
少なくとも某チェーン店ではこんなに迷う事はない。食べ放題で適当に食べたらいいのだ。
だけどここは違う。食べ放題よりもお肉が高い。A5ランクのお肉がなんちゃらと書いているが、そんなのテレビでしか見たことがない。
「夏樹?」
「あ…じゃあ、レンさんのオススメで…」
もう訳分からなくてレンさんに丸投げした。
下手に知ったかぶりするより、わかる人に頼る方がいい。
レンさんは「わかった」と言って、手馴れた様子で注文していた。
高校生の頃は、友達と行ったり家族と行ったりしていたけれど、社会人になってからは忙しいし、友達とも離れ離れになってしまった。
焼肉なんて久しぶりで、ほんのちょっとだけ楽しみだ。
特に話すこともなく、気まづいなぁと思いながらちょこんと座っていると、ポケットに入れていたスマホが震えた。
弟から電話のようで不安が過ぎる。
「ごめんなさい、ちょっと電話でますね」
「誰から?」
「弟です」
今一瞬、レンさんが不機嫌になったように見えたけれど…気の所為のようだ。
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