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第20話
お肉の焦げる音、室内に広がる香ばしい香り。すべてが最高だ。
匂いだけでご飯二杯はいけるな。
「ほら、焼けたぞ」
「わ、ありがとうございます…!」
う、こんな美味しいものを庶民の俺が食べていいのか??なんか罪悪感が…。
小皿の上に乗っかった高級お肉を色んな角度から見つめ観察していると、それを見たレンさんが眉に皺を寄せて小首を傾げている。
「食べねぇの?」
「い、いただきます!」
次のお肉を焼いているレンさんに心配そうな目で見られた。
いい加減食べるか、冷めたら嫌だし。
パクッと口の中にお肉を放り込むと、今までに食べたことのないお肉だった。
脂が乗ってるのにコテコテしてなくて、口の中で溶けていく。
これは……これは……!!
「美味しい!!」
「はは、そりゃあ良かった。どんどん食え」
次に焼けたお肉もお皿に乗せてくれた。
俺にばかりくれて、レンさんは全然食べていない。今度は俺が焼く番だな、と意気込んでレンさんの持つトングを奪おうと手を伸ばすが、トングは渡してくれなかった。なんでだよ!と手を伸ばすが届かず、何故か伸ばした手をレンさんに握られた。
違う、手を繋ぎたいんじゃいんだ。
「お肉焼くの代わりますよ」
「いや、お前火傷しそうだから。危ないだろ?」
「肉くらい焼けますけど!?」
俺を何歳だと思っているんだ!今どき小学生でも焼肉行ったら焼いてるわ!
確かに少し、ほんの少しだけ危なっかしい所もあるけど大丈夫だから!もう19歳だし、一応料理も出来るので火の扱いにも慣れているつもりだ。
「いいからレンさんも食べてください!」
「はいはい」
結局焼くのは代わって貰えなかったけれど、レンさんが楽しそうにしていたから俺も楽しかった。俺のくだらない話もちゃんと聞いてくれて、レンさんっていい人なんだなぁと思った。
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