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第31話

そうだ、伊東の情報網ならSNOW DROPの社長の事が少し分かるかもしれない。 どんな感じの人なのか知っておきたい。失礼があってからでは遅いし、上手く話せる自信もないし、何か共通点でもあれば話が弾むと思うんだけど。 「あのさ、SNOW DROPの社長ってどんな人か分かる?」 「今度飲みに」 「行くから」 「俺のデート服選びに」 「着いて行くから」 「おけ!」 伊東に情報を貰う事と引き換えに、いつも何か約束をこじつけられる。 別に一緒に居るのが嫌という訳じゃないし、寧ろ楽しいからいいんだけど。 「えーと、社長さんの名前は霜月 蓮さん。気に入らないとすぐに契約を切ったりするらしい。結構切られた会社あるみたいやなぁ。気難しい人なんかなぁ?」 「ひぇ… 行きたくない…」 「頑張れ!これあげるから!」 そう言って手渡して来たのは、変なネコみたいなイヌみたいなマスコットキャラクターがプリントされたクッキーだった。 なんじゃこりゃ…。このマスコットキャラクター人気なの?1ミリも可愛くない。 「ナニコレ」 「ネコトラちゃんのクッキー!知らんの!?こんなに可愛いのに!!」 「うっそ、これ可愛いと思ってるの?」 「逆に可愛くないと思ってるん?神経疑うわ」 いや、なんでそこまでボロクソに言われないといけないんだ。 そんなに可愛いか?まだ幼稚園児が描いたネコの方が可愛いと思うけど。 ペリっと封を切ってクッキーを食べる。クッキー自体にもネコトラちゃんがプリントされていて、なんの戸惑いもなく一口で食べると伊東が「あぁ…ネコトラちゃんが…」と悲しそうな顔をしていた。クッキー自体は美味しかった。

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