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第33話
ソファの隣からひょこっとレンさんの顔が見えた。
「お前、大丈夫か?軽い貧血を起こして倒れたんだぞ」
「レンさん…ここはどこ? これは夢?」
「夢じゃない、ここは俺の部屋だ。目を覚ましてやろうか?」
そう言って、レンさんの顔が近づいて来たと思ったら、チュッと軽くキスをされた。
「んっ…って!俺、こんな事してる場合じゃない!」
「目が覚めたな。よかったよかった」
「何もよくないです!」
ははは、と笑うレンさんとは違って、俺はかなり焦っていた。
まさか極度の緊張で貧血を起こして倒れてしまうなんて…!
契約も取りたいし、何より気がかりなのが俺とセフレだと言うこと。知らなかった俺も悪いけれど、今まですごく無礼な事をしてしまった。
「レンさん、いえ…霜月さん!」
「別にそんなに堅苦しくならなくていい。もう契約は結ぶつもりでいるし」
「え!?本当ですか!?」
なんと!俺は何もしていないが、契約を結ぶつもりらしい!これはラッキーだ!
でもそんな簡単に契約結んでいいのか?
俺としては有難いけれど。
「だけど、一つ条件がある」
「な、なんですか…?」
あまり無茶な事は出来ないけれど、俺自身に出来ることなら、なんとか。
ゴクリ、と唾を飲みレンさんの次の言葉を待った。
「週に一回、こうして俺の家に来てくれないか?」
「へ…?それが条件、ですか?」
「あぁ」
「あー、なんだ、そんな事か…緊張したぁ。いいですよ」
家に行くだけでいいのか。と言うか、ホテルが家に変わっただけだろうけど。
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