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第34話
「そうか、よかった。じゃあ毎週金曜日は空けておけよ」
「分かりました!えーと、という事は今日から?来週から?」
「今日はもう来てるだろ」
「あ、本当だ」
ふぅ、と息を吐き出した。安心したら体の力が抜けてしまう。
その様子を見て、クシャッと俺の頭を撫でた後飲み物を取りにキッチンへ行ってしまったレンさん。
霜月 蓮さん…と言うのか。まさかあの有名な会社の社長さんだとは思わなかった。
顔が綺麗だったから、モデルさんとか、俳優さんなのかなって思ってた。
社長って事は頭も良いんだろうな。すごいな、最強じゃん。
「コーヒーしかなかった。飲める?」
「あ、全然大丈夫です」
コーヒーの入ったマグカップを俺の前に置いてくれる。コーヒーのいい香りが鼻をくすぐる。
ソファに座っていた俺の隣に蓮さんも腰掛ける。
今日の蓮さんはまた一段とかっこいい。スーツも似合っているし、髪をセットした姿もイケメンだ。ジーッとコーヒーを飲む横顔を見つめていると、不意に目が合った。フッと微笑まれ、ある質問をされる。
「……夏樹は、どうしてお金が必要なんだ?」
「え……?あー、えっと……」
初めて会った時も同じ質問をされた。その時は関係ないだろうと冷たくあしらったが、今は話してもいいかもしれない…。
実際蓮さんには物凄く助けられている。
「実は半年前に両親が亡くなって……。それで高校卒業してから働き始めたんですけど、全然お金が足りなくて。頑張ってるのにお給料は変わらない、遂には弟も高校行かずに働くとか言い出すし……悔しくて、どうしてもお金が必要なんです」
痛いくらい拳を握りしめた。何か変わったようで変わっていない。現状は同じなのだ。
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