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第37話
「この後時間あるか?飯食ってく?」
「えーと、どうしようかな…」
早く帰れるなら帰りたいんだけど…
せっかく契約取れたし、蓮さんに付き合ってあげたい気持ちもある。
弟が心配だ、と思いスマホを確認してみるとメッセージが届いていた。
『友達に家に泊まります』と。最近泊まり多いな…まだ中学生だしあまり良くはないよなぁ。控えるように言いたいが、遅くにしか帰らない俺が何言っても無駄だよな…
「弟が心配だったんですけど…友達の家に泊まるみたいなんでご飯食べていきます」
「そうか」
いつも美味しいご飯を食べさせてもらっているから俺も何か恩返し出来たらいいんだけど…。
だけど今の俺に出来ることと言えば、部屋の掃除か夕飯を作ることしか出来ない。
蓮さんみたいな人ってあまり料理しなさそうに見えるけれど、実際はどうなんだろう?
手料理とか食べてくれるのかな?
大きな部屋には立派なキッチンがあった。だけどそこは綺麗で普段料理をしているようには見えない。
「ん?どうした?」
「あ、いや…、蓮さんって普段料理とかするのかなって」
キッチンをのぞき込む俺を見て声をかけてくれた。
蓮さんはうーん、と考えて困った顔をして首を横に振った。
「いや、何度か試みたんだが…俺が作る物全て黒焦げになるんだ。火事になりかけたこともあるし…キッチンには近づくなと言われた」
「それは…危険ですね…」
ただ単に料理をしないだけかと思っていたが…。料理はするけど下手なのか。だけどそこまでとは…予想していなかった。
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