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第54話
俺のことが好きだと言うけれど、本当は女の子の方がいいんじゃないだろうか。抵抗しないのも本当は女の子の方が良いからで、今頃「胸が柔らかくて気持ちいい」なんて心の中で思っているものなら一発殴ってやりたい。
俺と違って柔らかいし、可愛いし…。俺みたいにムカついたら殴ってやるとか思わないだろうし…。たぶんね。
「ねぇー、ご飯食べに行こうよぉ!」
「そうだよ!ほらー!」
お姉さんたちは強硬手段に出た。蓮さんの腕を引っ張り連れて行く気だ!
と言うか、なんで蓮さんは抵抗しないの!?なんかすごいムカついてきた!何故自分がここまで感情的になっているのかは分からなかったが、今は行動あるのみ。
早足で蓮さんの前まで行って、シャツを掴む。
「夏樹、遅かったな」
「……お腹すいた」
シャツを掴んだところまでは良い。ついカッとなってしまい行動に出たのだが、その後の事を考えていなかった。
なんて言ったら良いんだろうと、頭をフル回転させるが思いつかなかった。
もうどうにでもなれ!と思い、口にしたのが「お腹空いた」って…。自分でも呆れる。子どもかよ…
お姉さんたちも突然現れて空腹を訴える俺を見て、ポカーンとした顔をしている。
「じゃあ、飯行くか。好きなの食べていいぞ」
蓮さんはクスクス笑って、俺の腕を引いてその場を後にした。
恥ずかしい、かなり…恥ずかしい…。
元はと言えば、蓮さんがお姉さんたちに捕まるから!
こうなったら腹いせだ!
「焼肉食べたいです。 蓮さんの奢りで!」
「あぁ、分かった」
俺が蓮さんに奢った事なんてないけどな。
蓮さん、何言っても「分かった」しか言わないし、良いように利用されても知らないからな!
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