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第59話
「や、ぅ……待って、帰って来たばっか、なのにっ……」
「もう待てない。ずっと抱きたくて堪らなかった」
結局、弟は帰ってこないとの事だったので、蓮さんの家にもう一泊する事になった。
帰ってきて早々、ベッドに連行されて今は押し倒されて、首筋を甘噛みされている。まるで獣の捕食だ。食べられる。たぶん俺は美味しくない。カリカリ骨骨の皮しかない。
「あっ!待って、捲らないで!」
「なんでだよ」
服を捲り上げようとしていたのを、慌てて止めた。蓮さんは不機嫌そうな顔をしている。
だけど、見られたくないんだよ……。
「だって……俺には胸ないもん……。あのお姉さんたちみたいに柔らかくないし……触っても嬉しくないでしょ……?」
「……そんな事考えていたのか?」
ぎゅっと服の裾を掴んでいると、そっと俺の手を握ってくれた。
そして手の甲にキスを落とし、困ったように笑う蓮さん。
「俺は夏樹の胸のが好きだぞ」
「でもぺったんこだし、柔らかくないし!」
「夏樹は胸が欲しいのか?」
なぜそうなる。男に胸は要らないだろう。
鳩胸にはなりたくない。
「豊胸手術……」と呟いた蓮さんを軽くチョップした。豊胸手術なんてしない!俺は男だ!
「いや、要らないけど……!あった方が、蓮さん喜ぶんじゃないかって……」
最後の方は声が小さくて聞こえたのか聞こえてないのかは分からない。
でも蓮さんがすごく嬉しそうな顔をして、キスをしてきた。
唇の間から舌が入ってきて、俺の舌を絡め取り口内を犯す。舌が合わさる度にピチャピチャと水音が鳴り、ずくん、と下半身が熱くなる。
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