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第61話

「夏樹は俺を喜ばす天才か? 欲張れよ。夏樹の言うことなら何でも聞く」 「や、何言って……」 「本当に夏樹の事が好きなんだ。こんなにも好きなのにお前は俺の事、好きじゃないのか……?」 なんだよ、その聞き方はズルいだろ……。 蓮さんに好きと言われると、胸がドキドキしてすごく嬉しくなる。 好きだと言われると、俺も蓮さんの事が好きなんじゃないかと錯覚しそうになる。 でもこんな曖昧な気持ちで良いのか? 「おれ、まだ分かんない……。でも、蓮さんに好きって言われると、嬉しいしドキドキする。 女の子に嫉妬するくらいには蓮さんの事……すき……かも……」 「やっと言ってくれたな」 ギューッと力強く抱きしめてくれて、俺もそっと背中に腕を回す。 「好き」と伝えるのは緊張する……。初めて人に好きだと言った気がする。 でも、まだはっきりと「好き」とは伝えられなくて「かも」なんて付けてしまった。純粋に俺の事が好きな蓮さんに失礼なのに、それでも喜んでくれるなんて。 「こんな曖昧な答えなのに、いいんですか……?」 「今はそれで十分だ。これからもっと俺を好きになって貰えばいいだけだしな」 嬉しそうにニコッと笑う蓮さん。うっ、笑顔が眩しい……。 その自信は何処からくるのだろう……。蓮さんだからいいけど、他の人が言ったら完全に無視するだろうな俺……。 何を言っても許されるのは、かっこいい人の特権だな。 「両思いになれたんだ。続きやるぞ」 「やっぱり服脱がないとダメ……?」 「ダメ」 やっぱりまだ胸を見せるのが嫌で、服を着たままが良かったのに却下された。 着ていたシャツを脱がされ、膨らみのない薄い俺のぺったんこな胸が現れた。

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