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第70話
蓮さんか、出るしかないな。
「ふふっ、はい」
『何笑ってんだよ』
「ふっ、同僚に笑わされて、笑いが止まらないんですっ」
なんだそりゃ、と呆れたように言われる。
仕方ないだろ、ミジンコマグナムは本当に無理。絶対誰でも笑う。
『まぁいいや。仕事終わったら連絡くれ。飯でも行こう』
「やった!分かりました。今日は定時で上がれると思うんで!」
『おう。仕事頑張れよ』
つい浮かれて約束してしまったが、昨日蓮さんにご馳走になっただかりだ。
さすがに連続はダメかな……?俺も奢った方がいいのかな。でもお金が……。それに蓮さんは絶対に俺にお金は出させないと思う。
「彼氏から?すごい嬉しそうな顔してる」
「え、そう? 普通の顔だと思うけど……」
「んな事ないで?ニマニマしとる。大好きやん、彼氏のコト」
うふふ、と楽しそうに笑う伊東。
俺そんなだらしない顔してないと思うんだけど……。いや分かんないけど。鏡でチェックしといた方がいい?
なんか今日は恥ずかしいところばかり見られてる気がする……。
「でも、なんか安心したわ。遠野って真面目やし、誰にも頼らない完璧主義者って感じやん?恋人とか要りません的な雰囲気あったから、ラブラブしてる所みてるの安心する」
「伊東……そんな事思ってたんだ。 お前って、案外良い奴なんだな」
「今更気づいたんか!遅いわ!」
プリプリと怒る真似をする伊東を見ていると、とても楽しい気持ちになる。
いつも失礼な事ばかり言ってしまうけど、本当は感謝している。いい友人を持てて、俺は幸せだな。
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