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第76話

「な、治す方法はあるんてすか!?」 「治った時は、俺に興味がなくなった時だ。まぁ、離すつもりはないけどな」 「え?なんで蓮さんに興味がなくなった時に… …あ、」 気付いた。気付いてしまった。 蓮さんは意地悪そうな顔で俺を見ている。 これは、病気なんかじゃない。それを病気だとからかった蓮さんは意地悪だ。 教えてくれたら良かったのに。 「ちゃんと病気だろ? 恋の病」 「もう!教えて下さいよ!恥ずかしいなー!」 「自分で気付かないと意味が無いからな」 その笑顔を見るだけで胸が高まる。心臓がドキドキして苦しい。 そっか。これが「恋」というのか。 いや、ずっと好きだったのかもしれない。だけど、まさか自分が誰かを好きになるなんて思っていなかったから、認めなくなかったのかもしれない。 「俺、初めて人を好きになりました」 「そうなのか? でもこの前、彼女居たことあるって言ってただろ」 「それは、学生の頃のノリと言うか……。周りにはやし立てられて半ば強引に付き合ったと言うか……。実際、合わなくて1ヶ月経たない間に別れました」 俺はそこまで興味なかったが、相手が俺の事を好きだったらしく、その子は友達に大きな声で「この子、遠野の事が好きなんだって!」なんて、知られたくなかっただろう事を暴露され、からかわれていた。 泣きそうになっているその子と、はやし立てるクラスメイト。 きっとその子をからかう為の女子のノリと言うものだったのだろうが、流石に可哀想になった。 この場を丸く収める為には、「じゃあ、付き合ってみる?」と言うしかなかった。

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